売上が多いのに手元資金が無いときの対処法

税理士 平林夕佳

売上が多いのに手元資金が無いのは、借入金が多い場合と無駄遣いが多い場合があります。

 

 

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売上が多いのに手元にキャッシュが残らない

「勘定合って銭足らず」、損益計算書上は利益が出ているのに、月末や支払の期日を迎えると資金繰りに四苦八苦する状態です。

貸借対照表と損益計算書、つまり財務諸表を見てみましょう。

・貸借対照表(B/S)→ 一定時点の会社の財産・債務の表。
・損益計算書(P/L)→ 一定期間の収入と費用。

利益(= 収入 - 費用)が出ているということは、儲けが出ているということです。

よく「今期は利益がたくさん出ているので、節税のために借入金を返済するといいですか?」という質問を受けますが、

・利益→損益計算書(P/L)に掲載
・借入金→貸借対照表(B/S)に掲載

であり、B/S(財産・債務)に掲載される借入金をいくら返済しても、利益(P/L)に影響は無いのです。

会社の規模に見合わない額の借入金をしていませんか

会社を大きくしたり、利益を出すための投資として借入を利用するのは賛成です。

理想としては、預貯金が潤沢にある状態だけど敢えて借り入れをして投資に回すという状態です。いざとなったら留保しておいた預貯金を返済に回すことができるからです。

B/S上、預貯金に余裕があっても金利が安い今、借入れして投資に回すのは賢明な方法だと思います。国の政策で設備投資を推進しているせいか、様々な金利の優遇措置や補助金が用意されていますので、これらを利用して事業の拡大や収益アップを図ります。

しかし、会社の規模に見合わない借入をしてしまうと、資金繰りの問題で節税対策がしにくくなります。

原因の一つに、先代が多額の借金をしていて、その借金が二代目に引き継がれているケースが見受けられます。

二代目にビジネスの才覚があり売上が上がっても、会社の規模に見合わない借金があると節税対策が取りにくいものです。

「節税対策をする=お金が必要」な場合が多く、例えばセーフティー共済を利用しようとしても、資金が無いと、結局は節税対策が打てずに税金を払うことになってしまいます。

そのため会社の規模に見合わない多額の借金がある会社は、まずは会社に留保される預貯金を増額させることを目指しましょう。

 

売上を伸ばすより、無駄遣いをやめる方が簡単

会社の業種が時代にマッチしていないなどの理由を除き、無駄遣いがあるかどうか見直してみましょう。

中小零細企業の会社が倒産する原因の一つに、社長の奥様の浪費癖で会社が倒産したということもあるようです(ちなみに、社長の奥様の私的な支出は経費になりません!)。

その他、電気はこまめに消灯したり、無駄な文具類は購入しいない、リースは契約を見直すなど徹底すると、意外と資金が浮いてくるものです。

大企業のトヨタでさえ、「乾いたぞうきんを絞る」ほどのコスト削減をして利益を追求しています。

月末になると、なぜか預金残高が少ない、決算期に思うように節税対策が打てない事業者の方は、売上を伸ばすことも大切ですが、経費を削減することも意識してみましょう。

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★まとめ★
会社の規模に見合わない借入金は、資金繰りや節税の観点で困難になることがあります。

さらに、借入金が多すぎると事業承継が頓挫するケースもあります。
他人が作った借金を肩代わりしたい人というのは、いないのです。

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