イベント中止、払い戻ししない人へ所得控除を検討

税理士 平林夕佳

新型コロナウィルスの影響で政府がイベント中止を要請しました。イベント中止でチケットの払い戻しをしない人へ、所得控除で対応する案が浮上しています。

 

日本経済新聞、2020年4月1日、4面 より。

政府によるイベント自粛への要請

新型コロナウィルスは春になったら収束するのではないかと思っていましたが、日に日に状況が悪化していきます。

日本では3月下旬から感染者数が増加し、有名人で新型コロナウィルスに感染した人の報道も見るようになりました。

1月下旬から日本でもコロナウィルスの影響が深刻になり、日本政府が2月26日にイベント主催者へイベントの中止、延期、規模縮小の要請をしました。

このことによって、イベント開催当日に中止を決定したり、大規模で開催される予定のイベントが次々に中止を発表しました。主にアーティストの大規模なコンサートが損害を被っています。

アーティストの方々が「イベント中止が続いて会社が潰れる、アーティスト活動もできなくなる」と発信してたので、文化・芸術の存続にも関わる危機になっています。

イベントを中止すると、被害額はいくらか

神奈川県川崎市発祥で若者にカリスマ的人気のヒップホップグループ、Bad Hop。彼らは2020年3月1日に横浜アリーナで予定されていたコンサートを中止せず、無観客でライブ配信するという決断をしました。

Bad Hopもコンサートに向けて練習の日々だったと思いますが、そのコンサートを支える裏方の人たちの努力も相当なものです。彼らは中止ということは考えられず、無観客でもいいからライブを届けたいという思いで、借金1億円を背負ってライブ配信したということです。

Campfire 『Bad Hop借金一億円の無観客ライブをみんなで応援しよう!』より。

 

Campfireとは、自分が応援したいプロジェクトに寄付(出資)できるクラウドファンディングのサイトです。

Campfireでみつけたプロジェクトへの出資は寄付金控除の対象にはなりませんが、「応援したい」という気持ちで80,000,000円近く集めることができたようです。

Bad Hopが無観客ライブの決断に至った経緯などがCampfireのサイトに掲載されています。このような決断を読むと、ファンでなくても応援したくなりますね。

このサイトに「コンサート中止に伴うチケット払い戻し」に関することも掲載されていましたが、チケットを購入するほどのファンが、全員、払い戻しの手続きをと取るとは考えにくいです。

中には応援したいという気持ちから、チケット払い戻しを敢えて求めない人もいるでしょう。

そこで今日の日本経済新聞には、イベントチケットの払い戻しを求めない人へ、所得控除を適用する案が浮上したと書かれています。

中止イベント、チケット払い戻しを求めない人への所得控除

日本経済新聞2020年4月1日4面の記事によると、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて中止したイベントのチケットを購入し、チケットの払い戻しを受けなかった人を対象として、チケット購入金額を寄付金とみなして所得から控除すると書かれています。

政府がこれから特例法案を提出し、早期成立を目指すと書いてあるので、まだ案が浮上した段階で決定ではありません。

まだ案の段階ですが、記事を読むと「所得控除」で対応するように記載されています。

寄付金控除は、所得控除といって、①所得(もうけ)から寄付金額を差し引いて税金を計算する方法と、税額控除といって、②税金を計算してから一定の計算をした後の寄付金額を差し引く2つの方法があります。

(例)
・ふるさと納税 → 所得控除を適用。
・住宅ローン控除 → 税額控除を適用。

となっております。現段階のチケット払い戻ししない人へは所得控除で対応を検討しているようです。

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