白色申告にすれば、領収書や請求書は保存しなくていい?の都市伝説。

税理士 平林夕佳

白色申告でも領収書や請求書をまとめた帳簿を付ける義務があります。さらにこれらの書類は、最低7年間保存する決まりになってます。

 

レインボーカラーでライトアップされた東京タワー。三田の慶応大学近くで。

白色申告にすれば、帳簿や領収書は要らないの?

所得税確定申告をしようとする個人事業主や賃貸不動産をお持ちの方から、

「白色申告だったら領収書が無くても、帳簿も付けなくていいのですか?」

と質問されることがあります。

確定申告には青色申告と白色申告の2種類あります。

青色と白色の違いって、一般の方にはよくわからないですよね?

以前は、領収書や請求書を基に帳簿を付けて、その帳簿書類を基に申告できる方が、青色事業承認申請書を提出することで、青色申告ができるとしていました。

一方、帳簿の付け方がわからない方が白色申告する、と分けていたようです。この話は昔の話で、現在は白色申告でも帳簿を付けて、領収書類を保存する義務があります。

結果的に青色申告と白色申告で、領収書類を基に帳簿を付ける義務がある点で違いはありません

所轄税務署では、記帳指導を無料で行っていますので、事業を始める=帳簿を付けることがセットになって、浸透してきた結果だと思います。

青色申告にすると、様々なメリットがある

白色申告で申告しても、領収書や請求書などの証憑類を基にした帳簿を付けることが義務付けられているため、青色申告でも白色申告でも帳簿書類の要件は同じになります。

そのため、税務署に開業届出書を出す時に、青色申告承認申請書をセットで提出する場合が多いです。

青色申告承認申請書を提出して青色事業者となると、

・青色事業専従者給与の経費を入れることができる(不動産貸付業の方は、事業的規模の場合に限る)。
・損失を3年間、繰り越すことができる。
・10万円以上、30万円未満の固定資産を一括費用計上できる(この場合、償却資産税の対象にはなる。関連記事 『償却資産税申告書、備品にかかる固定資産税の節税方法』)。
・青色申告特別控除が受けられる。

など、税制上のメリットがたくさんあります。

白色申告にしたところで、領収書や請求書などを基にして帳簿を付け、帳簿を7年間保存する義務があるため、それなら青色申告承認申請書を出して青色申告のメリットを受けた方が得になります。

白色申告で申告するときは、どういう時か

帳簿書類の保存義務があるのに、どうして白色申告の制度が残っているのでしょうか?

青色申告をするには、青色事業承認申請書を提出しなくてはなりません。青色事業承認申請書は提出期限があるため、提出期限を過ぎてしまうとその年は白色申告をすることになります。

開始届出書は提出したけど、青色事業承認申請書を提出していなかったという方は、その年は白色申告になってしまいます。

さらに、相続で親の事業を相続した方は、相続開始の日(亡くなった日)が何月かによって、青色事業承認申請書の提出期限が異なります(国税庁, 『所得税の青色申告承認申請手続』 参照)。

白色申告にしたからと言って、申告が楽になる、手を抜いてもいいということはありません

敢えて白色申告を選択する意味がありませんので、青色申告にして、青色事業者の税制上のメリットを受けましょう。

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