コロナ休業、家賃の減額交渉で改正民法は適用できる?

税理士 平林夕佳

飲食店をはじめとして事業者は店舗を休業しています。借主の責任によらない休業で収入が大きく減った場合、家賃の値下げはできるのでしょうか。

 

足のペダルを踏むと消毒液が出る仕組みです。手がポンプ部分に触れないので衛生的です。「大田区産業プラザPio」にて。

 

コロナ要請で休業、家賃を値下げできるのか

事務所がある青山一丁目駅では、駅改札がある地下街にたくさんの飲食店が入っています。しかし、新型コロナウィルスの影響で、半分くらい終日シャッターが下りてます。

この状態が続くことで、お店の家賃が払えないという問題が出てきました。そして飲食店を応援するホリエモンこと堀江貴文さんが、飲食店経営者にこの困難を乗り越えるアドバイスを2020年4月20日、YouTubeにアップしました。

YouTubeを視聴したところ、アドバイスの一つに「家賃の減免交渉」についてお話されてました。

営業したくてもできない状態ですから、店舗側に責任があったわけではありません。すべては新型コロナウィルスの影響です。この場合、大家さんは家賃の減免交渉に応じなくてはならないのでしょうか。

改正民法611条、賃借物の一部使用不能による賃料の減額に該当するのか

民法が改正され、2020年4月1日に施行されました。今回関係者するのは民法611条の賃貸借契約です。借りた部屋の一部が賃借人(借主)の責任によらず使えなくなったら、家賃を減額する規定です。

改正民法611条の「賃借物の一部滅失等による賃料の減額等」の趣旨が国土交通省のサイトにあります。

国土交通省,『民間賃貸住宅に関する相談対応事例集 – 国土交通省』,1頁 より。

リンク先のPDFの参考資料に具体的な事案が掲載されています。トイレが使えない、風呂が使えない、雨漏りによる利用制限など、借主の責任ではない備品や家屋の劣化を原因として立法されたように見受けられます。

店舗自体が壊れたわけではありませんが、今回のコロナウィルスにより店舗を休業するのは、「借主の責めに帰すべき事由ではない」のか…と考えてしまいます。

ただ、私は弁護士ではないのでこの賃貸借契約に関しては専門外です。この改正民法611条を用いて交渉できるかどうか、わかりません。

店舗家賃を払えない、とりあえず大家さんに相談

「コロナ戦争」と言われるほど今まで経験したことが無い事態が続いています。この状況は皆さん理解しているので、来月の家賃が払えない場合、大家さんに家賃の減額について相談してみるのが一番です。

このときに、過去3年分くらいの決算書を大家さんに見せるくらいの心構えが必要です。家賃が払えない状況を理解してもらいましょう。

そして、営業再開したら減免前の家賃に必ず戻すことも約束しましょう。

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