ふるさと納税から除外された泉佐野市、最高裁で逆転勝訴
税理士 平林夕佳
ふるさと納税をめぐり、大阪府泉佐野市がふるさと納税の除外決定の取消しを求めた最高裁の判決が出ました。
ひっそり静かな京急線鮫洲駅。
泉佐野市のふるさと納税をめぐる最高裁判決、その争点
ふるさと納税をめぐって泉佐野市が起こした裁判の、最高裁判決が出ました。
日本経済新聞『ふるさと納税訴訟、泉佐野市が逆転勝訴 最高裁判決』,(2020年6月30日 訪問)。
ふるさと納税の高額な返礼品が問題となり、総務省はふるさと納税のお礼品に対して一定の規制を設けました。しかし、泉佐野市は総務省からの指導に従わなかったとして、2019年6月以降にふるさと納税をしても税のメリットが受けられない自治体に指定されてしまいます。
新制度は2019年6月1日から開始するのに、それより前の2018年11月以降の取り組みによって判断されるのは、「法の不遡及」の原則から逸脱しているといるのではないか、として泉佐野市が裁判を起こしたのです。
本日の最高裁では泉佐野市の主張が認められ、大阪高裁判決を破棄し、決定を取り消したという報道です。
返礼品に規制がかかる前のふるさと納税
ふるさと納税が創設されたのが2008年分の確定申告からなので、既に11年が経過しました。
ふるさと納税は、サラリーマンに対するワンストップ特例が平成27(2015)年分の確定申告から導入されたことで一般の方にもふるさと納税の裾野が広がりました。
ふるさと納税がポピュラーになったもう一つの理由としては、「実質2,000円の負担で、産地の特産品や商品券、旅行券などのお礼がもらえる」ことです。
それまで国からお礼品に関して規制が無かったため、各自治体はふるさと納税による寄付額を集めようと、高額な返礼品を用意するようになりました。
魅力的なお礼品の中でも目立った自治体は、大阪府の泉佐野市です。
過熱したふるさと納税、お礼品は寄付額の30%
いかに魅力的で高額なお礼品を用意するか、高額なお礼品提供できない自治体は寄付集めが思うように進まず、自治体間で寄付額に差が開いたことが問題となりました。
この問題を解決すべく打ち出された案が、2019年6月から開始した新制度のふるさと納税です。
返礼品は寄付額の30%まで、かつ地元の特産品を返礼品にすることなどが盛り込まれました。
新制度の適用については、2018年から強制力のない指導が総務省から自治体に対してなされており、そのため、今回裁判の争点となる「2018年11月以降の取り組み」で新制度のふるさと納税の対象自治体から外される判断がなされたのです。
確かに、泉佐野市は2018年12月になってもお得感のある返礼品で、ネットで話題になっていました。
しかし今回、総務省が最高裁で負けたので、2019年6月1日以降に泉佐野市にふるさと納税をした方に対しても、ふるさと納税による税のメリットが受けられることになりそうです。
最高裁の裁判長、宮崎裕子氏は最強の女神
今回の最高裁の裁判長が宮崎裕子氏であることに注目しました。宮崎裕子氏は税の雑誌にもよく論文が掲載されています。
企業法務の経験が長く、多くの税務訴訟で国税を相手に裁判に勝っている弁護士で、国税を負かす最強の女神と呼ばれているようですね。
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