食べていければそれで十分…って、

税理士 平林夕佳

食べていければそれで十分、という言葉に思うこと。

アジサイの花が青くなりました。

食べていければそれで十分…って

廃業した方で「食べていければそれで十分、という気持ちで頑張りました」と言う方がいました。

ご本人は「私はお客様のために、かゆい所に手が届くサービスを低料金で提供し、お客様に喜んでもらえた。」ということです。「食べていければそれで十分なので、お客様のためを第一に考えて、安い料金で」、頑張っておられたようです。

これだけ聞くと仏様のようなご立派な心持ちの方だとは思いますが、私はいち経営者として、思っても口に出して「食べていければそれで十分」とは言わない方がいいと思っています。

食べていければそれで十分、若い人はなおさら言ってはいけない

頑張っても置かれた境遇から抜け出せないなら、食べていければ十分という気持ちになってもしかたがないでしょう。

子供のときにテレビで見た「ああ、野麦峠」に出てくる製糸工場で働く女工さんは、1日中働いても食べさせてもらえるのがやっとで、かわいそうだなと思ったことがあります。

人権すら無い時代ですから、早朝から夜中まで糸をつむぎ、食べて寝るだけ。生きていくのがやっとですから、食べていければ十分と思うのも仕方のないことです。

今の20代や30代の方はネットやSNSの普及により小資本でビジネスが始められるため、チャンスがいたるところに転がっています。なので「食べていければそれで十分」という後ろ向きワードは言ってはいけないと思います。

先日投稿したブログ「言葉には力がある。言霊で運気を上げる」にも書きましたが、言葉には力がありますので、言ったことが本当になってしまうからです。

食べていければそれで十分…と言った途端に成長が止まる

最近、ビジネス系のYouTubeを視聴するようになりましたが、30代の女性司会者が、とある実業家に対して「好きなことを仕事にして、食べていけるんですね」と言ってました。

その実業家の方も「食べていける」という気持ちで事業に取組んでいないとおっしゃってました。

会社の経営は、利益を出して成長していかなくてはなりません。利益を出す、成長する、と意識していたら「食べていければそれで十分」とは思わないでしょう。

つまり、利益を出したい、成長したい、という欲が無くなると、人の気持ちや意識は瞬く間に下降します。欲が無くなると好奇心が無くなりますので、何かを始めたり新しいことへ挑戦したいという気持ちも失ってしまうでしょう。

もはや草食系などと言ってられない事態です。

経営者は会社の利益を出して、成長を止めてはいけないと言うと、「金儲け主義か」と批判されることもあります。日本人はどうしても「利益を出す、売上を上げる」と聞くと銭ゲバに聞こえてしまうようですが、「利益を出す=納税する」ので、社会貢献をしているのです。悪いことではありません。

「食べるために生きるのではない。生きるために食べるのだ。( Eat to live; do not live to eat.)」それはつまり、人生を楽しんで生きるのだ!ということです。

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