遺留分侵害額請求で不動産を分与、分与した人に譲渡所得課税

税理士 平林夕佳

民法改正により、遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求に改正されました。遺留分侵害額請求が金銭債権となり、金銭による支払いが原則となりました。

 

 

遺留分とは、最低限度の財産を受取る権利

法定相続分という言葉を聞いたことがあると思います。

父親は既に他界し、母親、兄Aと弟Bの3人の親族がいたとします。

母親が他界したら、兄弟2人の法定相続分は、A、Bそれぞれ2分の1ずつになります。

相続が開始して、法定相続分で財産をきれいに分けられればいいのですが、

兄が家を出て自由に生活をしており、弟が母親の面倒を見ていたとすれば、

母親は、財産を全て弟に相続させたいと考えるでしょう。

この時に、遺留分を考慮して遺言書を書かないと、後にトラブルになる可能性があります。

遺留分とは、相続人の最低限度の相続財産を受取る権利のことで、法定相続分の2分の1が遺留分です。

この事例ですと、兄Aは法定相続分2分の1に、さらに2分の1を掛けた4分の1の相続財産を受取る権利があります。

遺留分より少ない遺言だったら

今回の事例で、母親が遺言書に「全ての財産を、弟Bに相続させる」と書いていました。

兄Aは自由な生活をしていて、両親の面倒を一切見ていなかったとしても、遺留分の4分の1の相続財産を受取る権利があります。

兄が遺留分侵害額請求権を行使すると、弟Bは遺留分に相当する財産を兄Aに分けなくてはいけません。

改正後の遺留分侵害額請求は、金銭の支払いが原則

そのような権利を行使することを、令和1年6月30日までは、「遺留分減殺請求」と呼ばれていました。

令和1年7月1日以降は「遺留分侵害額請求」と言います。

遺留分減殺請求が遺留分侵害額請求に変わったことで、遺留分侵害額請求が金銭債権として扱われることになりました。

金銭債権のため、原則として、弟Bは兄Aに対して遺留分に達するまで不足額をお金で支払います。

遺留分侵害額請求で、不動産を分与した時の税法上の扱い

弟Bはお金に余裕があり、遺留分に達するまで兄Aに対してお金で支払いができれば問題無いです。

しかし、お金で支払う余裕が無く、相続した不動産を充てて遺留分の補填をした場合、民法改正後に税法上の課税関係に影響が出ることとなりました。

従来の遺留分減殺請求は物件的な扱いだったため、不動産に含み益があったとしても譲渡所得とは認識しませんでした。

しかし、遺留分侵害額請求は金銭債権として扱われることから、不動産による遺留分の補填は、代物弁済による不動産の譲渡として扱われます。

代物弁済による補填だと、本来なら金銭で支払うべきところを不動産を充てて債務を解消した形となります。

そのため、不動産をいったん売却したお金で債務を返済したと考えるため、不動産の売却による譲渡所得の税金を考慮しなくてはなりません。

不動産で財産の分与をした弟Bは、不動産の含み益について、譲渡所得の申告が必要になります。

税法の分野では、課税関係に影響が出る民法改正となったので、注意しましょう。

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