遺言書を書く前に、誰にどの財産を相続させるか話しておくと良い

税理士 平林夕佳

遺言書の内容は、原則、家族に話す必要はありませんが、やはり家族に相談しておいた方が良いと思うことが多いです。

遺言書の内容は、家族にお話ししてありますか?

遺言書を作成する理由として、自分が他界した後、財産の分けかたで話がまとまらないことが想定されるときに、遺言書を書いておくという方が多いと思います。

ところが最近は、家族構成が複雑な方だけでなく、家族の仲が良い方でさえ、遺言書を書いておきたいというご希望を伺うようになりました。

家族の仲が良ければ、遺言書を書かずとも遺産分割協議でまとまりそうですが、小さな行き違いで遺産分割協議がまとまらない可能性もあるため、生前のうちにきちんとしておきたいというご意向のようです。

遺言書作成のご相談があった際、「家族の方に、遺言書の内容を話してありますか?」と、必ず質問をしています。

遺言書の原則は、内容を家族に言う必要はない

自分の財産を誰に相続させるか、自分の財産を相続人にあげるようなものですから、どの財産を誰に相続させるか、遺言書を作成する方が自分で決めることとなります。

家族に遺言書の内容を、前もって話す必要はありません。

しかし、遺言書の内容について家族に話したかどうかの確認を行う理由は、遺言書を書き終わった後に家族がその内容を知り、家族喧嘩に発展してしまうことがあるからです。

遺言書の内容を前もって家族に話すと、かえって家族で喧嘩が始まってしまい遺言書がなかなか書けないのでは?と考えてしまいますが、遺言書の内容を誰にも相談せず、亡くなった後に出てきた遺言書がもとになって相続人の間が険悪になることがあります。

遺言書の内容を、生前に家族に話した方が良い理由

親の残した財産について、どのように活用したらいいか、その財産が不動産なら長期的な計画に基づいて対策を立てる必要があります。

誰がどの財産を相続するか、相続人の間である程度予測をしていたものの、想定外の財産が自分に割り当てられていたら、相続人としても困惑するのではないでしょうか。

遺言書があれば、まず遺言書どおりに財産を分けて相続しますが、遺言書どおりに財産を分けるのではなく、遺産分割協議によることについて、相続人全員の意見が一致すれば、遺産分割協議により被相続人の財産を分けることができます。

つまり、せっかく遺言書を作成しても、そのとおりに財産が分けられるとは限らないこととなります。

自分の意志に反した結果となった相続人と、それ以外の相続人の間に亀裂が入り、その後の人間関係が険悪になることがあります。

つまり、せっかく遺言書を書いても遺言書どおりにならず、その後、家族間で喧嘩が始まってしまうのです。

自分が亡くなった後、家族で争うことなく財産を分けることが遺言書を書く目的の一つのため、遺言書を書く前に、内容をあらかじめ家族に伝えることをおすすめします。

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