土地の財産評価、宅地造成費の計算に必要な「傾斜度」を調べるには

税理士 平林夕佳

傾斜のある土地は、宅地造成費を引いて財産評価をすることができます。土地の傾斜度は、オンライン地図のサービスで簡易的に計測することができます。

 

 

国税庁、財産評価基準書のサイト。

相続や贈与で土地がある時の土地の相続税評価額

相続や贈与で土地を含んだ申告をする時、その土地の財産評価を行います。

この財産評価はあくまでも税金を計算するための相続税評価額のため、実際に取引される売買価額とは異なります。

土地の売買価格は、日当たりや騒音など、その物件の周辺環境など加味する要素がたくさんありますが、「相続税評価額」については、あくまでも税金を計算するために算出した価額となります。

市街化区域にある山林は、山林ではなく宅地(家が建つ土地)とする

23区内にある土地ですと、建物が建つ土地(宅地)が多いので、宅地造成費を考慮せずに土地の評価をすることが多いです。

地方ですと、市街化区域にある山林は、山林としてではなく宅地として評価すると決まっています。

山林ではなく宅地として評価するとなると、その山林の評価額は何倍も高くなってしまいます。

ところが、現状はまだ山林の状態で、宅地にはなっていないため、宅地としての評価額から宅地造成費の概算額を引いて相続税評価額を出します。

概算額は、国税庁ホームページ「財産評価基準書」に「宅地造成費金額表」があるので、この表にあてはめて宅地造成費の概算額を計算します( 令和2年分財産評価基準書 )。

傾斜地の整地費用は、オンライン地図と計算式で算出できる

宅地造成費金額表に「傾斜がある土地の宅地造成費」を出すときの一覧があります。

山林の山を切り崩したり、整地したりする費用をひっくるめた金額ですが、傾斜度が上がるほど、整地費用の概算額が高くなります。

では、実際に山林の「傾斜度」はどのように測るといいでしょうか。

土地家屋調査士でしたら簡単に出せるのかもしれませんが、税理士で傾斜度を簡単に出すことができる税理士はほとんどいないでしょう。

ところが、ネットのYahoo地図とCasioの「生活や実務に役立つ計算サイト」で、山林の傾斜度を出すことができます。

 

↑Yahoo地図で、測りたい場所を検索し、右側の物差しのマークをクリックします。

 

↑物差しのマークをクリックすると、左側にウィンドウが出てきて、スタート地点(S)とゴール地点(G)を選択するように指示が出ます。

とりあえず、傾斜の上にある「森林総合研究所」というのをスタート地点にしてみました。

傾斜の終わった場所をゴールにしてクリックすると、標高差が「13m」と算出されます。また、区間距離は254mと表示されているので、Casioの計算サイトで数字を入力して傾斜度を求めます。

距離と標高差を求めるのに、Yahooの地図だと少し不安という方は、国土地理院のホームページの「地理院地図」からピンポイントで標高を出すことができます。

 

↑Casioのサイトで角度が「2.9299度」と算出されました。

このように、距離と標高から傾斜度を求めることができます。

傾斜度を求めれば、宅地造成費の概算額が算出できます。

最終手段として、役所の土木課で教えてもらう

机上でざっくりと試算したい場合、ネットから調べることができますが、

正確な数値を出したい時は、最終的には区役所・市役所の土木課である程度教えていただけます。

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