親に遺言書を書いてもらうために自分ができること

税理士 平林夕佳

遺言書と聞くと、抵抗を感じる人がまだたくさんいます。親が前向きに遺言書を書くために、子供からの働きかけも必要です。

 

 

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遺言書が持つマイナスイメージを理解する

遺言書と聞くと自分がこの世からいなくなった後のことを連想するせいか、前向きになれないという方がいます。

以前、遺言書の相談で夫婦でお見えになった方がいましたが、ご主人はテーブルの端に座り、ずっとそっぽを向いていたということがありました。

せっかく来たので一緒に話をしましょうと声を掛けたところ、「遺言書は死を連想させるから遺言書のことは考えたくない、話は聞きたくない。」と言って、ご主人はずっとテーブルの端に座ってそっぽを向いたままでした。

確かに、遺言書を書くときは自分が他界した後のことを考えなくてはならないので、どうしても自分の死後と向き合わざるを得ません。

昔の旧民法の家督相続ですと、被相続人の遺産はすべて長男に相続されていたため遺言書のことなど考える余地もなく、被相続人の遺産はすべて長男が相続していました。

その印象を引きずっている方がいるのでしょう。死後は自分の面倒を見た人や長男に財産が渡るものだ、死後の事など考えたくない、自分の死に向き合いたくない、そんな気持ちから遺言書のことを話題にすると親が怒り出す、不機嫌になる、という話を耳にします。

遺言書が無かったために起きたトラブルを話題にする

相続をめぐるトラブルは雑誌やテレビでもよく紹介されているため、「遺言書を書いておいた方がいい」ということを理解している方は多いようです。

最初は「遺言書書いた?」と、ストレートに聞いてみてもいいでしょう。その時に「書こうとは思っている。」と返事されたら、第一段階はクリアしてます。遺言書を書くのに書類を揃えたり財産を全部調べなくてはいけないので、面倒くさくて動かないのか、よくわからないから行動に移せていないだけと考えられます。

もし「私はまだ死なない」とか「縁起の悪いことを言わないで」と言われたら、遺言書に対してダークなイメージをお持ちだと考えられますので、親の認識を変える努力が必要です。

親が遺言書に対して悪いイメージを持ったまま遺言書の作成を強要するのは逆効果です。人の考えを変えるためには時間が掛かりますので、長期戦になることを想定しましょう。年に何回か会った時に、遺言書の話題を少しだけ出すということを続けます。

その時に、遺言書が無かったために起こったトラブル事例を話題にしてみましょう。

遺言書を親に書いてもらうため私が自分の遺言書を書く

それでも遺言書を書かない親に対しては、まず自分で自分の遺言書を書いてみることをお勧めします。

遺言書を書いたことを親に報告することで、親はどうして子供が遺言書を書いたのか聞いてくるからです。その時に、遺言書の必要性や書こうと思ったきっかけを説明することで、親も遺言書について真剣に考える始めるようです。

いきなり公正証書遺言を作成するのにハードルが高いようでしたら、自分の思いを質問形式で回答するエンディングノートを活用してみましょう。

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