たくさんの人に買ってもらいたい商品は、誰からも買ってもらえない
たくさんの人に買ってもらいたい商品を作ると、誰からも買ってもらえない。
大量生産・大量消費の時代はそれでも通用した
大量生産・大量消費の時代は何を作っても物が売れたため、広告といっても多くの人が好むキャッチーな宣伝で、テレビCM、雑誌、ラジオを媒体として広告を打つのが一般的でした。
大量消費の時代が終わり、ネットやYoutubeで個人が自分のお気に入り、好きなものを発信する時代になったので、人の好みがより細分化されました。
このことを理解せず、「大量生産・大量消費」時代の頭で、マーケットのニーズを理解していない人がものを作ろうとすると、つい「多くの人に喜んでもらえるものを作れば、たくさん売れる」と考えがちです。しかし、男女問わず、あらゆる年齢層にも対応できるものとなると、結果的に誰の心にも響かないものとなって存在がぼやけてしまいます。
服の流行の移り変わりがよくわかる例だと思います。バブルの頃、私は高校生でしたが、高校生でもオシャレな子はデザイナーズブランドの服を買ってました。セールの時期は、学校の授業もそっちのけで渋谷にあるマルイやパルコ、西武の百貨店に行ってブランドの服を買いあさる子もいました。
自分の好きなブランドの店に行って、上から下まで同じ店で買えば、誰でも個性的でオシャレな人に見えたのです。自分の好きなブランドの見つけ方は、自分の好きな系統の服を掲載しているファッション雑誌を見て、「このブランドカワイイ」「カッコイイ」「テイストが自分好み」といった感覚的に好きなブランドを雑誌で見つけるのが一般的でした。
私たちがブランドの情報を得るには、自分の好きなテイストのブランドを掲載している雑誌を見て、服の着こなしをイメージしたり服を買いに行くことが多かったのです。
インスタやYoutubeが個人の好みをより細分化した
スマホ時代になってオシャレに敏感な若い女性がネットにつながりました。彼女たちは安くてカワイイ服を着こなし、インスタやYoutubeを使って次々に発信しはじめました。「モデルではない普通の若い女性」がネットに上げるオシャレでカワイイ写真は、モデルと違いより現実的に映ります。「私もあんなふうになれるんだ」と。ネットに出ているオシャレなインフルエンサーの数だけ、ファッションの選択肢が存在することになります。
その商品を好むであろう購買層を絞り込むことで、買ってもらえる
ファッションを例にとっても、画一的にファッション雑誌に掲載すれば売れたという時代ではなくなっているので、「選んでくれる層」を絞り込むことが重要です。
それは服だけでなく、お酒、グルメ、サービスも人のニーズが細分化しているため「どんな人に買ってもらいたいか」購買層を絞り込まないと、結局は誰も選んでくれない商品となってしまうのです。