割引、値引き。安売りは人生の損失
税理士 平林夕佳
お客様を増やす手っ取り早い方法が、安売りと値引きです。お客様は増えますが、自分の人生には大きな損失です。
安売り、値引きは手っ取り早い
開業したての頃は、お客様が来てくれるだろうかと心配になります。
開業して2ヶ月、3ヶ月経っても問い合わせが無かったり、契約に至らない時、
「もっと安くすれば、お客様に選んでもらえるのではないか」と、悪魔のささやきが聞こえてきます。
お客様から選んでいただくのに一番手っ取り早くて簡単な方法は、「安くする」ことです。
安い値段にすれば、努力や工夫をすること無くお客様が増えていくでしょう。
しかし、安い値段で選ばれたなら、他にもっと安い値段の業者があれば、お客様はそちらに流れてしまいます。
安かったから、値引いてくれたからという理由で選ばれたなら、他にもっと安い値段のところがあれば、そちらに行ってしまうのは当然です。
安売りや値引きでお客様になってくれた人は、あなたが提供する仕事の価値を見ていません。
しかし、商品やサービスを気に入って選んでもらえたのなら、値段が少し高くてもお客様は離れません。
安売りや値引きは、人生の大切な時間を削るのと同じ
安売りをする、値引きをして販売するということは、自分の時間を安売りするのと同じです。
会社にお勤めしている時は、会社に拘束される時間がお給料として支払われるため実感がありませんでした。
しかし、個人事業主やフリーランスは利益を出さないと商売が成り立ちません。
一日あたり、いくら売上げないと商売として成り立たないという計算をしているため、
安売り、値引きをしたらその分の損失をどこかで埋めないと、商売が成り立たないのです。
安売り、値引きの穴埋めをするため休日返上で働くのは、人生の大切な時間を大きく毀損しているのと同じことです。
個人事業主になって、「時間」の大切さを実感するようになりました。
個人事業主やフリーランスは、自分しかできない仕事、独自性に対して付加価値を付けて販売すればいいのです。
安売り、値引きは大量生産が可能な大手に任せればいいのです。
安売りや値引きは、大量生産できる大手ならでは
安売りや値引きで、流れ作業で大量生産できる大手と競争してはいけません。
大手だと人員が豊富ですから、その人に合った仕事を流れ作業で生産することができます。
流れ作業は、効率よくコストを抑えて大量生産することが可能ですが、個別のオーダーメードに対応するのが苦手です。
個人事業主やフリーランスは大手が苦手な仕事で勝負すればいいのです。
独自性や個性、オーダーメードで付加価値を付けて販売すればいいのです。
自分の大切な時間を有効に使うためにも、商売を続けていくためにも、
個人事業主やフリーランスは、安売りや値引きで勝負してはいけません。