やめるのは、始める時よりハードルが高い

税理士 平林夕佳

何かを始める前、たくさん悩んで考えてから一歩を踏み出します。しかし、一度始めたものをやめる時は、始める時よりもさらに悩みます。

 

3月開幕予定のロンドン・ナショナルギャラリー展、3月中に行く予定でしたが開幕自体がいつになることやら。

 

新しいことを始める前は、たくさん悩んで考えてから始める

新しいことを始めようとする時、準備の段階で十分な計画を立てたり、人に相談したり、悩んだり、準備万端整えてから始めます。準備の段階で不安でいっぱいになりますが、不安を乗り越えて新しいことへのチャレンジが始まります。

私の場合は税理士試験に挑戦してもいいのかどうか、受験して実際に合格できるのかどうか、自分に適した仕事が他にあるのではないかと1年ほど悩みました。

私が始めた税理士試験の受験は資格試験を受けるだけですから、失敗しても元の生活に戻るだけです。

資格試験に挑戦するかどうか、新しい趣味を持つかどうかは、やめても元の生活に戻るだけなので、低いハードルで始められます。

充分悩んでから始めたのに、やめるときはもっと悩む

始める前に悩んでいると、やってみてダメだったらやめればいい、だからもっと軽い気持ちで一歩を踏み出しましょうと言われます。しかし、やめるかどうかの決断は、始める時よりも悩むものです。

私の場合ですと、税理士試験の終わり(合格)の出口が見えない時期があったので、今やめた方がいいのか、続けた方がいいのか、葛藤した時期もありました。

税理士試験を始めたときは「1回受験してみてダメだったらやめればいい」という簡単な気持ちでしたが、いざ計画通りに合格できないとなると、それまで投資した時間とお金を天秤にかけてしまい、「やめる=投資した時間とお金を無駄にする」という算式が頭をよぎるようになってしまいます。

やめる時の方が始める時よりも悩むのは、それまで掛けた時間とお金を無駄にした気持ちになったり、人生を無駄にしてしまったのではないかという思いからくるのでしょう。

「やめる」ということに罪悪感は無い

いったんやめてみる、という決断を邪魔する要因は、過去に投資した時間とお金、人生を無駄にしているのではないかという罪悪感です。

資格試験の勉強に限らず、スポーツでも趣味でも、いったん始めるとお金も時間もつぎ込むことになります。そのため、やめることを決める際には今まで投資したお金と時間のことが頭をよぎることでしょう。

しかし、過去に投資したお金と時間にとらわれてしまっては、「やめてみる」という行動に向かうチャンスを放棄することにもつながります。

また、「やめる」という言葉から、「長続きしない」「飽きっぽい」と否定的な意味を持つ言葉が連想されるため、やめる決心がつかないのかもしれません。

しかし、やめるということは、新たなスタートへの第一歩でもあります。やめることに抵抗がある、やめることに罪悪感があるようでしたら、新しいことを始めるという気持ちに切り替えてみることです。

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