入金した日に売上を、引落しされた日に費用を計上すればいいですか?

税理士 平林夕佳

個人事業者の方から、よく質問されます。12月31日の時点で売上に入れるものと、費用に入れていいものの判定時期について。

紅葉を見ると、確定申告が近づいていることを意識します。

売上や費用に入れる時期は、個人の判断で決めてはいけない

簿記の勉強をすると、経過勘定項目という科目や売掛金、買掛金という言葉が出てきます。

前払費用、未払費用、前払金、未払金などを経過勘定項目と呼びます。

売掛金は、売上を立てたけどお金がまだ入金されていない状態、買掛金は、仕入れをしたけどお金を払ってない状態です。

年の途中で、12月31日になる前なら、未払費用や未払金、前払費用や前払金、売掛金や買掛金を計上しなかったとしても、申告をする上で大きな問題になる可能性は低いです。

しかし、12月31日を迎えた時、今年の売上・費用に計上するものと、1月1日以降の来年に計上するものとを分けて申告をしないと、税務調査が入った時に修正される可能性があります。

税務申告は、期間損益計算という方式で、個人事業者なら1月1日から12月31日までの1年間の売上と費用を正しく申告すると決められています。

入金日、引落し日で売上・費用を計上しない

そこで、今年の売上に入れなくてはならないものと、今年の費用に入れなくてはならないものをどうやって判断するかが、期間損益計算の決め手になります。

よくある質問は

①通帳に入金された日に売上を立てるのか。
②クレジットカードで引落とされた日に費用を立てるのか。
③1月に引き落とされた12月分の電話代は、何月の通信費に入れるのか。
④事務用品を12月に購入して使いました。1月に代金を振込んだが、いつの事務用品費になるのか。
⑤10月~翌年3月分まで6ヶ月分のサービス料6,000円を10月に払ったけど、全額今年の費用にしていいのか。

が、代表的な質問です。回答は

①→商品等の引渡し、又は役務提供完了日に
(売掛金)××× (売上)×××
で売上を計上するため、入金した日に売上を立ててはいけない。

②→クレジットカードが引き落とされた日に費用は計上しない。
クレジットカード明細を見て、12月31日までに使ったカード分を費用に入れる。
(費用)××× (未払金)×××
の仕訳を立てる。

③→12月に使った電話代が、翌年に集計されて引き落とされるに過ぎません。
使った月が12月なので、12月の費用にします。
(通信費)××× (未払金)×××

④→使った月の費用(若しくは貯蔵品)に入れる。
(事務用品費)××× (未払金)×××
※ 厳密には、事務用品や切手類など、期末に「貯蔵品」として資産計上することもあります。

⑤→12月31日に、まだサービスを受けていない分を、前払費用に計上する。
10月×日 (支払手数料)6,000円 (現金)6,000円
12月31日 (前払費用)3,000円 (支払手数料)3,000円
※ 前払費用は、翌年に振替仕訳を入れて経費にする。

と、売上や費用に入れる時期は、入金した日や引落しされた日に限らないということです。

売上や費用の計上時期を正しく入れないと、租税回避に繋がる

今年は売上を安くしたいから来年に売上を立ててしまおうとか、

費用を来年に入れたいから、来年に入れてしまおうなど、人によって売上・費用の計上時期を勝手に決められてしまうと、納税者の勝手な判断で、納税額が変わってしまいます。

つまり、売上や費用の計上が正しく行われていないと、恣意性が介入し、租税回避に繋がる恐れがあります。

そのため、納税者の恣意性が入らないように、経過勘定項目、売掛金、買掛金などの科目を使って、今年売上に入れなくてはいけないもの、費用に入れなくてはいけないものの判断基準が一律に決められています。

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