何でもショートカットすれば良い、というわけではない
効率・ショートカットを追求しすぎて対人関係がギクシャクしてしまうことも。
日本人の国民性、相手の気持ちを考えて言葉を選ぶこと
外国人から見た日本人のイメージとして代表的なものは、親切で優しい国民性でしょうか。歴史的にみても、島国は外から攻撃されたり侵略される危険性が少なかったため、海の向こうから来た人に対して温厚な印象があります。また、日本人は農耕民族ですから、地域のコミュニティを大切にしなければその土地で生活するのが難しくなってしまうという歴史もあったからでしょう。日本人が相手の気持ちを考えて言葉を選ぶのは、地域コミュニティを大切にしなければ生活していくのが不便だったためそのような国民性になったということも考えられます。
外国人が日本を旅行して良い思い出ができたり、また日本に来たいと思ってくれるのはありがたいことです。今年行われたラグビーワールドカップの日本開催では、日本中の開催地で外国人選手や応援団へのおもてなしが称賛され、来日した選手や記者、応援団が日本滞在中に体験した感動をインスタやツイッターに上げて日本を紹介していました。
一方で、日本人は何を考えているかわからないとも
しかし、外国人から見た日本人は、「結局何を言いたいのか伝わらない」とも言われます。これは相手の気持ちを考えて言葉を選んでいるため日本人同士では伝わるのですが、外国人には難しいようです。私も20代の時は外国人と連絡を取ることがあり、相手の気持ちを考えて言葉を選んだつもりが「で結局、何が言いたいのかわからなかったんだけど、私はどうしたらいいの?」と言われることが何度かありました。
たとえば政治家がよく使う「〇〇については非常に厳しい状況ですが、実現に向けて鋭意努力致します。」の、回答の真意はなんでしょうか。正解は「努力はしますが、実現できないと思ってください。」が正解です。しかし、外国人が聞くと「実現に向けて努力してくれると言っている。」とプラスの意味で受取るのです。
シンプルな説明が求められますが、時には遠回りも必要
会議では無駄な時間を省き、出席者全員にわかりやすくシンプルに伝えることが大切ですので、ビジネスではショートカットで話を進めることも大切です。特に外資系の企業では、ビジネス会話はシンプルに要点を相手に伝えることが要求されます。
ただ、これを日本の企業にあてはめて「ビジネス会話・シンプル・ショートカット」を繰り返していると、冷たい人、とっつきにくい人、相談しずらい人になり周りから敬遠されてしまうかもしれません。私のような税理士業では、経理担当者だけではなく経営者と直接話をして企業の将来や事業の方向性など話をします。そこで、数字に現れた事実をシンプルに簡潔に話をしてしまうと、嫌味に聞こえてしまうことがあります。会話の開始から終了まで、いくつか寄り道をしながらゆっくり相手に伝える、ということも場合によっては必要です。