上場株式等の譲渡損失の繰越控除。翌年以降の注意点
税理士 平林夕佳
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)と配偶者控除は、上場株式等の譲渡損失の繰越控除前の合計所得金額で判定します。
横浜駅西口の工事が終わり、明るく広さを感じる駅になりました。
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
ネット証券の台頭で、個人でも株が買いやすくなりました。
ネット証券のおかげで、主婦やサラリーマンの他、大学生まで株の取引きをしている方がいるようです。
しかし株価は不安定で、景気の影響を受けやすいものです。
リーマンショックの後や、今回の新型コロナウィルスの感染拡大が始まった3月には、驚くべきスピードで、株価は日々下落しました。
株価が下落した時に損切りしてしまい、その後の株価上昇を逃してしまっていたなら、令和2年の株取引は、マイナスに終わっていることでしょう。
この売却損となってしまった損失について、来年以降3年以内に株の取引で利益が出たら、その利益から損失を繰越して控除するという規定が、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除です。
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除は、特定口座の源泉徴収有りで取引した株の売却損であっても申告が必要です。
特定口座の源泉徴収有りは、通常、株の売却益に対して証券会社が税金を源泉徴収してくれるので、申告が不要となっています。
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除は、3年連続申告が必須
株の売却損が出た年、仮に令和2年に株の売却損が出たとします。
株の売却損を令和3年~令和5年(翌年から3年間)まで繰越したい、という方は、令和2年分の確定申告書を提出することが条件です。
この令和2年分の確定申告は、単純に損失を令和3年に繰越すだけと考えてください。
手続きとしては、株の損失を繰越すためだけの申告ですが、サラリーマンの方は会社の源泉徴収票の内容を記載するので、源泉徴収票を会社からもらっておきます。
確定申告書は国税庁のサイト「確定申告書等作成コーナー」から作成できます(2020年12月14日現在、令和2年分のソフトは利用できません)。
株の売却損を翌年以降に繰越したら、翌年(令和3年)と翌々年(令和4年)に株の取引をしていなかったとしても、損失を繰越すために令和3年と令和4年は、確定申告をしなくてはなりません。
株の売却損を繰越した、翌年以降の注意点
前年に上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除があり、今年は株の売却益が出たとします。
今年は株で利益が出たとしても、前年の株の売却損があるため今年の株の売却益から損失を引くことができます。
ここで、住宅ローン控除と配偶者控除の適用を受けている納税者の方は注意が必要です。
住宅ローン控除は合計所得金額が3,000万円を超えたら適用できません(国税庁 『合計所得金額3,000万円の判定』)。
配偶者控除は合計所得金額が1,000万円を超えたら、適用無しです(国税庁 『配偶者控除』)。
合計所得金額は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除前です。
住宅ローン控除と配偶者控除の適用がある方は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除を使った方が得か、使わない方が得か、試算してみるといいでしょう。
↑YouTube関連動画
「株の申告やマイホームを売却したら、基礎控除や配偶者控除が使えない?合計所得金額の内容を確認しよう。」
★★★
港区赤坂にある当税理士事務所では、「遺言書を書きたい」「相続のとき、税金はどのくらいかかるか」「起業するのに法人と個人、どちらがいいか」など、相続や遺言に関するご相談をお受けしております。
港区赤坂、青山、麻布近辺で税理士をお探しの方は、アクセスしやすい場所に税理士事務所があります。
税理士 平林夕佳へのお問い合わせは こちら
税理士報酬について、料金表は こちら
★★★
全国対応のみならず、海外からのご相談にも
対応してます。
★★★