株の口座、特定口座の源泉徴収有りで国民健康保険料を安くする
税理士 平林夕佳
コロナの影響で、証券会社に口座を新規開設した人が急増したようです。
(日本経済新聞,『楽天証券、3月の月間口座開設数が16万超で歴代業界最多更新を発表』より。)
夜間窓口もある赤坂郵便局。
証券会社での口座開設、一般口座と特定口座のどちらかを選ぶ
コロナの影響で、証券口座の新規開設者が今までに無いほど増えたようです。楽天証券では、2020年2月と3月は、新規口座開設者数が歴代最多となったとプレスリリースしています。
2020年1月17日に日経平均は年初来高値24,115.95円を付けましたが、2ヶ月後には16,358.19円の年初来安値まで下落しました。2ヶ月の間に8,000円も値下がりしたのですから、今のうちに株を買っておこうと考えた人が多かったのでしょう。
そして外出自粛がサラリーマン投資家を増やしました。会社に出社せずに在宅勤務に切り替わったため、仕事の合間に思いきり投資ができるようになったようです。
日経平均が下落し始めると、日銀のETF買い(日本銀行,『指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果ならびにETFの貸付結果』参照)や、「くじら」と呼ばれているGPIFの買い支えもありますから、会社が倒産しない限り、株価がいったん下がっても、再び上昇することが予測されます。
この波に乗り遅れまいと証券会社に口座開設する際、「一般口座」か「特定口座」を選択して口座開設をします。
証券会社での口座開設で、特定口座を選ぶ
証券会社で口座開設する際、一般口座を選択すると、株の売買で利益が出た年の翌年に確定申告する必要があります。
特定口座はさらに「源泉徴収有り」か「源泉徴収無し」に分類されます。
特定口座の源泉徴収有りを選択して特定口座内で株の売買をすれば、証券会社で税金を計算して差し引いてくれるので、確定申告する必要はありません。
個人事業者で国民健康保険加入者なら、特定口座の源泉徴収有り
結局のところ、株の売買を始める時にどの口座を作れば税金面で得なのか考えた場合、一般口座と特定口座の違いは
・自分で確定申告をする(一般口座もしくは特定口座の源泉徴収無し)
・証券会社に計算してもらって税金を差し引いてもらう(特定口座の源泉徴収有り)
ですので、自分で申告するか、証券会社に税金分を引いてもらうかだけの違いですから、税金の計算はさほど変わらないはずです。
しかし、個人事業者などで国民健康保険加入者は「特定口座の源泉徴収有り」がお得です。
理由は、前年分の確定申告をもとに算定基礎額を計算し、算定基礎額に応じて国民健康保険料が計算されるからです。
つまり、株を売った利益を確定申告すると、株の利益も算定基礎額に含めて国民健康保険料が計算されてしまいます。
特定口座の源泉徴収有りの口座なら、利益が出ても確定申告は不要のため算定基礎額に株の利益は入りません。
そのため国民健康保険料を考慮した場合、特定口座の源泉徴収有りで株の売買をした方が得になります。
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