遺言書を書かない親、「うちの子に限って」は時代遅れ

税理士 平林夕佳

自分の子供たちが相続で争うなんて考えられない、うちは家族みんな仲が良いと思っていてもわかりません。相続が争続に発展する前に遺言書を書きましょう。

 

 

近所の川でカモ(?)が10匹くらい泳いでました。仲良く群れで移動する鳥なんですね。

 

親の面倒を見た人に遺産を相続させる、そんな時代は終わってます

昭和22年までは、旧民法による遺産相続方法で被相続人である戸主が亡くなった場合は必ず長男が一人で全ての遺産を継承・相続するのが原則でした。家督相続といって、その家に何人も子供がいても、長男がすべての遺産を承継したのです。

家督相続により遺産が相続されていた時代は、現在ご高齢の方が生まれた頃です。旧民法の家督相続により被相続人の遺産が長男に相続されていたのは、高齢の方からするとまだ最近の話なのかもしれないです。

その後民法が改正されて、相続人には遺留分相当の財産をもらう権利が平等にあります。長男だけがすべての遺産を相続することができなくなりました。

しかし、法律が変わっても急に人の頭の中は変えることができません。未だに「長男が親の面倒を見たんだから、自分が死んだときに遺産はすべて長男に渡る」と思い込んでいる人が少なくないように伺えます。
遺留分という最低限の遺産をもらう権利が相続人全員にあるため、離婚して何十年も会ってない子供がいたとしても、その子に遺産を相続する権利が発生してしまうのです。

 

相続が「争続」に発展する可能性を想定する

うちの子供たちはみんな仲が良いから、相続が発生しても揉めないと思います、だから遺言書は書かなくても大丈夫、と言う人がいます。確かに子供のころは仲が良かったのでしょう。

しかし、どんなに仲が良くても実際に相続が発生すると、人は変わってしまうことがあります。

以下は、相続が「争続」に発展してしまった原因の一部を紹介します。
・親の葬儀のしかたで意見が分かれてしまい、そこから争いになった
・相続の手続きをしているときに、ちょっとした意見の食い違いから争いになった
・相続をきっかけに兄弟間の距離が近くなり、価値観が違うことに気付いた
・兄弟の配偶者が口出ししてきて、遺産の分割がまとまらなくなった
・相続開始から10ヶ月(相続税申告期限)までの間に、考えが変わった

など、小さな出来事が原因で、大きな争いに発展してしまうこともあります。

遺言書を書くことで、残された家族に安心感を与えます

結局のところ、本人は亡くなってしまうのでその後の相続問題で争いが発生しても、何もわからないのです。相続が争続に発展した場合、嫌な思いをするのは残された人達になります。

残された配偶者や子供たちが安心できるように、遺言書を書きましょう。

家族が仲良く、相続で争うなんて考えられない、という方へも遺言書を書いておくことをお勧めしますが、以下の1つでも当てはまるようでしたら、遺言書を書くことを強くお勧めします。

①子供たちの仲が悪い
②子供たちの間で経済的な格差がある
③子供たちの間で学歴に差がある
④独身の子がいる
⑤親と同居して、面倒を見てくれた子がいる
⑥海外に住んでいる子がいる
⑦外国人と結婚した子がいて、外国籍の孫がいる
⑧財産の多くが土地など不動産である
⑨離婚経験があり、前の配偶者との間に会ってない子がいる

思いついただけで9つありました。
上記に当てはまらない場合でも、遺言書は書いておくことをお勧めします。

遺言書を書いた後、変更したくなったら書換えができます。最後に書いた遺言書が生かされますので、何度でも書換えできます。

まとめ

遺言書を書くのは面倒だと思って行動に移せない方が多いように思います。
どのように書いていいかわからなければ、私どもの事務所でも遺言書作成サポートを行っています。

税理士 平林夕佳へのお問い合わせは こちら

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