配偶者の居住権、民法の改正で4月1日から施行されました

税理士 平林夕佳

先週の土曜日、全国女性税理士連盟東日本支部主催の研修会、「3日間で確認する、民法改正と相続税務の確認」に参加しました。

講師の笹岡宏保先生。

相続税は、税法だけでなく民法の知識も必要とされる

全国女性税理士連盟東日本支部では、毎年9、10、11月の3ヶ月にわたって、「秋の連続研修会」を開催しています。

1回6時間×3日間ですから長時間かつ内容の濃い研修会ですが、講師の笹岡宏保先生の面白いお話がところどころちりばめられて、ゲラゲラ笑いありの楽しい研修会となっています。

 

楽しい研修会ではありますが、毎年、資産税について「まだまだ勉強することがたくさんある」と、気付かされる研修会でもあります。

今回の3日間の研修会では、税理士に必要な改正民法を学習する予定です。

9月は改正民法のうち、配偶者の居住権について勉強しました。

配偶者の居住権。最初に聞いた時の私の感想は、「わざわざ法律で定めなくても、夫婦で住んでいた家の所有者である夫が亡くなった場合、普通に考えて妻は住み続けることができるでしょう」です。

しかし、離婚や再婚が当たり前になっているご時世で核家族化も進み、昔のように法律で定めなくても当たり前が通じない世の中になったということです。

ということで、相続税に絡む民法を勉強しておかないと的確にアドバイスができないため、税法だけでなく民法の知識が必要になるのです。

配偶者の居住権とは

夫婦で住んでいた家で、家の所有者である夫が亡くなった以後、妻は無償で住んでも良いという権利のことです。

普通に考えると、今まで住んでいた家に住み続けるのは当たり前か…と思ってしまうのですが、その家をその夫婦の子が相続した場合、妻は子に家賃を払う必要があるかどうかが問題になります。

実際、最高裁判決(平成8年12月17日)では、夫が亡くなった後、妻は子に遺産共有持分に対応する賃料相当額を負うものとされた判決があります。

夫婦で住んでいた夫名義の家に、夫が亡くなった後妻が住み続ける。

昔のように3世代同居が当たり前、離婚が少なかった時代だと想像しにくいのですが、離婚や再婚、核家族化が進んだ現代では、戸籍上は親でも生みの親ではなかったりすると、こういった争いが出てくるのでしょう。

配偶者の居住権には、短期と長期がある

配偶者の居住権について午前中の講義では、弁護士は必要な知識だけど、税理士には関係ないと思い研修を受けていました。

しかし午後の講義から「配偶者の居住権」には短期と長期があって、長期の配偶者の居住権になると税理士の出番になる話になりました。

配偶者の居住権で長期のものになると、配偶者の居住権について権利の放棄という概念が出てきます。

権利の放棄をした場合、譲渡対価を評価して、お金をもらって譲渡したら配偶者には譲渡所得の税金がかかってきます。

権利の放棄を無償でした場合、その権利を譲り受けた人に対しては、みなし贈与がかかることになります。

と、配偶者の居住権を税法で論じると複雑なんですね。

さらに、小規模宅地等の特例が入ったらどうなるか、これは複雑すぎて、図解で書くと畳3畳分の図になってしまうようで(笑)、書籍化できてないようです。

そして、遺言書に配偶者の居住権について記載する場合は、「相続させる」ではなく「遺贈させる」。

相続人に対しては全て「相続させる」とは限りませんのでご注意を。

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港区南青山にある当税理士事務所では、「相続のとき、税金はどのくらいかかるか」「遺言書を書きたい」など、相続に関するご相談をお受けしております。

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