生計一親族とは。必ずしも同居している必要は無い。
税理士 平林夕佳
生計一親族の判定で、同居しているかどうかは関係ありません。
所得税の電話相談センター、「医療費控除」の質問が多い
所得税確定申告の時期に入ると、
国税庁主催の確定申告電話相談に、
税理士が相談員として対応します。
その電話相談で毎年1番多い相談は、
医療費控除についてです。
医療費控除の対象となるかどうか、
個別の判断に迷うだけでなく、
「家族の医療費は、入れていいのか」
というご質問も多く寄せられます。
家族の医療費については、
・同居している家族。
・大学生で下宿している子供。
・別居している妻の親。
これらの医療費を、自分の
医療費控除として確定申告
していいのか判断に迷うところです。
生計一親族は同居していることが条件ではない
所得税法73条(医療費控除)では、
「居住者が、…自己又は自己と
生計を一にする…親族に係る
医療費を支払った場合に
おいて、…」
と規定しているので、
「生計一親族」の医療費を
自分の申告に入れることができます。
生計一親族とは、
食事代や水道光熱費など、
同じ財布で生活をしている親族を
生計一親族と言います。
同じ財布で生活
しているかどうかは、
同居していれば明確です。
しかし、生計一親族は必ずしも
同居を要件とはしていません。
別居の生計一親族の具体例として
大学生の子が下宿している場合です。
一人暮らしを始めたけど、
生活費のほとんどを親が仕送り
しているときです。
食事や水道光熱費など
生活に必要なお金は、
親の財布から支払われている
こととなります。
実家を出て一人暮らししているけど
生活費は親が毎月仕送りしている
大学生は、
別居でも生計一親族となります。
別居している妻の親が
生計一親族になるには
どのような要件があるでしょうか。
妻の親は親族ですから、
年金をもらっていない
などの理由で、
・毎月
・同じ日に
・定額を
・生活費として十分な金額
を仕送りしていれば、
妻の親は生計一親族となります。
生計一親族になるための具体的要件とは?
生計一親族としての具体的な要件が
気になります。
つまり、別居している親族に
毎月仕送りする金額をいくらに
設定すればいいのか、
が、一番悩むところだと思います。
まず、生活費の仕送りですから
毎月、決まった日に決まった金額を
定期的に仕送りすることが
「生活費の仕送り」です。
次に「いくら仕送りすればいいか」
ですが、この「いくら」という
具体的な金額はありません。
しかし、明らかに生計一親族ではない
ケースというと、
「年に何回か会った時だけ、
お小遣いを渡している」
というケースや
「別居している親族が、
仕送りを受けなくても
生活できる収入がある」
場合、生計一親族とは
言えないと判定されます。