最大150万円の交通費支援~地方の兼業・副業で政府支援~
Bericht und Foto :税理士 平林夕佳 geschrieben.
東京圏に住みながら地方で兼業や副業をする人に、交通費を支援する制度が2020年度から始まります。
日本経済新聞 2020年1月10日、4面の記事に耳寄り情報が報道されていました。
余談ですが、5面には「士業」の個人事務所が厚生年金の適用対象になる記事がありました。
3年間で最大150万円の交通費支援が受けられる制度
東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)から他の地域へ兼業・副業として通勤する人を対象とした交通費の支援制度が始まります。「東京圏に住みながら、地方で兼業や副業をする人に交通費を支援する制度」について、政府が20年度予算案に1,000億円の地方創生交付金を計上し、一人当たり年間50万円を限度として3年間で最大150万円が支給されると書かれていました。
【要件】
・主に東京と神奈川、埼玉、千葉の1都3県から他の地域へ兼業・副業として通勤する人が対象。
(ただし、1都3県のなかでも交通の便が悪い過疎地域への通勤は対象。)
・交通費が往復で1万円を超える。
上記の場合、国と地方自治体がその半分を兼業や副業先の企業に助成します。
この支援金の制度が制定された目的としては、東京への転入者が転出者を超えているという現状を緩和することにあるようです。
流行の「いなか暮らし」で、地方自治体は若い家族の移住をキャンペーンしてますが、それでは限界があるようで、この交通費支援制度が制定されたようです。
往復1万円を超える地域
要件の一つに、東京、神奈川、千葉、埼玉などの東京圏から往復1万円を超える地域に兼業か副業で「通勤」しなくてはなりません。
路線検索で試しに「東京駅→高崎駅(群馬県)」を検索してみました。
東京から高崎で片道4,500円ですから、往復1万円を超えません。さらに先の地域で兼業・副業する必要があります。
路線検索を見ると東京→高崎間は1時間で行ける距離です。高崎駅前ですと人が多くて賑やかですので、過疎地・人口が少ない地域という雰囲気ではありません。
交通費支援の目的が東京圏の人口流入の緩和です。なるべく過疎地域に人を送り込むことが目的なので、東京からなるべく離れた距離(過疎地域)への通勤交通費の支援は目的に合うこととなります。
交通費支援の制度、具体的な事例を考える
この制度は、地方への兼業や副業で地方へ通勤する人を雇っている企業が支援金を受取る制度です。
そのため、地方の企業で採用難の会社が、東京圏に住む人を採用する時に使えると思います。
しかし、その採用される方が兼業や副業で通勤する場合に限ります。メインの仕事を持っていない人を採用しても、交通費支援制度は適用できません。このあたり、ハードルが高い印象を受けました。
では、サラリーマンが地方に副業で会社を設立したときは使えるのでしょうか。この場合は、その地方に会社の拠点を置いて、会社に通勤して兼業していることが条件になるのではないでしょうか。つまり、会社の拠点が無いと通勤として認められないため、事務所を賃貸する必要があります。事務所を賃貸すると、家賃や光熱費等の諸経費が発生しますので、経費を回収できるほどの売上がないと現実的ではありません。また、交通費は掛かった交通費の半額の支援かつ年間50万円までという縛りがあります。
≪注意事項≫
昨日新聞で報道されたばかりの情報で、細かい適用要件については未確認です。この制度を利用しようとする方は、詳細をお調べになった上で活用してください。
★まとめ★
兼業・副業で東京圏から通勤している人がいる企業に、年間50万円まで交通費の支援が受けられるため、地方で起業するビジネスモデルを考えている人にはチャンスです。
地方への人の流入と同時に、空室となっている賃貸不動産も空室を埋めるチャンスになるかもしれません。