飲食代と贈答品代、接待交際費のコスパを語る

お中元・お歳暮・手みやげ(贈答品代)、飲食代について、その接待交際費のコスパを語ります。

西麻布の権八にて。店内が広くて天井が高く、空間とお料理が素敵なお店でした。

 

接待交際費とは、どういう経費のこと?

「接待交際費(交際費)」とは、どういう経費のことでしょうか。学生さんが「金欠なのに、食事会やプレゼント代の交際費がかさむ」と、言ってるのを聞いたことがあります。そうです、接待交際費とは取引先へのお中元・お歳暮・手みやげ代その他、一緒に飲食して接待した時の経費をいいます。

税務上の接待交際費は、飲食での接待の場合、一人当たり5,000円を超える飲食代が接待交際費になります。ちなみに5,000円以下ですと会議費に入り、法人税を計算するときに全額経費(損金)に入れて法人税を計算します。

一人当たり5,000円を超える飲食代で、接待交際費として経理処理する場合は、中小企業だと年間で800万円までが経費(損金)として認められるため上限が限られてしまうということと、大企業では支払った飲食代の全額を経費(損金)に入れることができません。

会社のお金で飲食ができて、おいしい思いができる接待交際費。あなたがサラリーマンでしたら、会社から接待交際費としてお金が支払われるので、費用対効果はあまり気にしないのかもしれません。

しかし、あなたが経営者だった場合、支払った接待交際費に対して「払った接待交際費が、いくらの売上高に結びつくのか」考えたことがあると思います。

仕入や人件費、家賃などと違い、支払わないと仕事にならないという経費ではないため、節約しながら最大限の効果は得たい、いわゆるコスパよく接待交際費を利用したいですね。

10万円の売上を上げるために遣った接待交際費の支払額

接待交際費をコスパ良く使いたい。いくら接待交際費を払うと売上高がいくら上がるのでしょうか?業種により違いがありますが、国税庁がデータを発表しています。

 

グラフは「『平成29年度分「会社標本調査」 調査結果について(表8)交際費等支出額の累年比較(国税庁HP)」を加工したものです。

上のグラフ、折れ線グラフは売上高10万円あたりの接待交際費の支出額です。2007年~2017年の調査対象年では、売上高10万円を上げるのに200円から250円程度の接待交際費を払ったということを表してます。
折れ線グラフが下降するほど「コスパがいい」ので、10万円あたりの売上高に対して206円の接待交際費が遣われた2013年が一番コスパが良かったことになります。調査対象年の最終年、2017年度は売上高10万円を上げるのに接待交際費として251円を払っているので、コスパが悪いことになります。

接待が売上高の増加に繋がりにくくなった

私は親が会社を経営していたので、幼少の頃から仕事の話を聞いて育ちました。「あっちの方が安くできるけど、こっちの会社は近所だし、こっちに仕事の依頼をしましょう、お金じゃないんだ。」という話を聞いたことがありました。日本では、義理・人情・信用で商売が成り立つところもあるので、昔の人は付き合いを大切にして商売をしている方が多いと思います。
そのため、昔の日本ではお中元・お歳暮・手みやげ、飲食などの接待ということも仕事の一部と考えられていたことでしょう。

しかし、外資が国内に入ってきたことと、ネットやITでやり取りできてしまう時代になりましたので、義理・人情・対面での商売は薄くなってきているのかと思います。義理・人情・対面での取引が少なくなると、取引先を接待することや贈答品を贈ることが商売に繋がっているとは実感しずらくなります。

国税庁HPの調査結果より、2013年は売上高10万円を売上げるのに206円の接待交際費で済んでいたものが、2017年は251円の接待交際費が必要です。約2割も支出額が上がっているので、支払った接待交際費の額の効果が実感できなくなってきていると感じる企業は多いと思います。

 

★まとめ★
私は税理士事務所の経営をしているので経営者という立場です。仕事はお客様からのご紹介や人のつながりで、今までご依頼をいただいていました。しかし、単に贈答品を贈ったり、飲食で接待するだけでは仕事を取りずらくなっているということも実感します。今やネット社会ですので、ネットで調べれば税理士なんていくらでも探せますし、わざわざ人から紹介してもらうまでも無いのです。

私のような士業は、常に知識をアップデートして最新の税法で仕事をこなすことは税理士業として当たり前、当然のことです。しかし、専門職であると同時にサービス業でもあるので、丁寧な接客、お客様に寄り添うことが、売上高アップにつながるということを肝に銘じました。

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