座・高円寺。特別公演「新作ストレート」。2025年1月26日
高円寺にある、座・高円寺。
by 税理士 平林夕佳
目次
落語には古典と新作がある
小学生の頃、父親と書店に行き、落語の本を買ってもらったことがあります。小学生向けの本だったので、小学生でも古典落語がわかりやすく書いてありました。
その本の影響か、落語と言えば古典落語のことを指すと思っていました。
ところが、落語を寄席で聞くようになり、新作落語を知ることになります。
昨日は、披露される落語がすべて新作落語、特別公演「新作ストレート」に行ってきました。
座・高円寺
落語の会場は、広いと数百人規模のホール、狭いと50人で満席になるマンションの1室のような会場もあります。
座・高円寺は初めて聞いた会場だったせいか、うっかりすると気付かず通り過ぎてしまうような、小さな会場をイメージしていました。
ところが、座・高円寺に到着してびっくり。外観がきれいで大きな建物。気付かず通り過ぎてしまうことはない存在感の建物です。
↑座・高円寺、1階ロビー。落ち着いた内装ですが、水玉模様の光がポップでかわいらしい。
座・高円寺のホールは、1階と地下2階にあります。今回の「新作ストレート」は、会場が地下2階の高円寺2。
↑座・高円寺内にある喫茶店。公演後、ファン同士で語りたい時に。
↑今回の座席。本当はもっと前方席でしたが、開演前に係の人が、見えやすい座席に移動OKとのアナウンスをしたので、隣に人がいない席に移動しました。お陰様で落語に集中できる席でした。
座・高円寺2、新作ストレート 出演者
さて今回の特別公演、新作ストレートの出演者は、チラシのとおり。
なお、この5人に加えて、開口一番を立川笑王丸さんが勤めました。
1.オープニング(和泉・鯉八)
2.八五郎長屋(立川 笑王丸)
3.カレーのにおい(三遊亭 青森)
4.腰痛(柳亭 信楽(しがらき))
5.小さな幸せ(立川 談吉)
«お仲入り»
6.働き方の改革(弁財亭 和泉)
7.すこしふしぎ(瀧川 鯉八)
8.アフタートーク(青森、信楽、談吉、和泉、鯉八)
全員、落語を初めて聞く落語家だったので、どんな特徴のある落語家なのか楽しみでした。
座・高円寺2、新作ストレート 演目
さて、今回の演目と、内容を簡単に。
1.八五郎長屋 立川 笑王丸
登場人物のすべての名前が「八五郎」。「あなたも私も八五郎さん」でした。
2.カレーのにおい 三遊亭 青森
予知能力がある人が主人公。ただし、予知能力が働くのは、ある1つの分野だけ。
3.腰痛 柳亭 信楽(しがらき)
くしゃみをきっかけに男女が入れ替わっただけでなく、男性の持病まで女性に移ってしまう話。
登場人物が7人(+伝説の生き物)。今、誰がしゃべっているのか役を分けて話すのが難しそうだと感じました。
そして、信楽さんは声が通ることと、言葉をハッキリ発音するので、聞きやすかったです。
4.小さな幸せ 立川 談吉
メインの登場人物は女性2人。ばったり会ったご近所さんの服装から話が展開します。ところが、服装ではなく身に付けている不思議なものが話題の中心に。
普段の何気ないファッションの話から、徐々にあり得ない話題に移っていくところが面白かった。
そして談吉さんの人柄なのか、穏やかにお話するので、スゥーっと話に引き込まれました。
令和7年1月、立川流の新年会で真打内定をいただいたとのことで、2月にお披露目会が予定されているようです。
5.働き方の改革 弁財亭 和泉
落語家が男性なのか女性なのかは、関係ないだろうと思いました。ところが和泉さんの新作落語は、女性の目線で見えたもので話が組み立てられているように見えました。
弁財天和泉さんは落語家になる前、食品会社の人事に勤務されていたようです。
その経験から、この日の新作落語は、会社での出来事として話が始まります。育休明けに出社した女性が、久しぶりに出社して感じた社内環境の変化が題材になっています。
この新作落語は、女性ならではの視点で作られたことが伺えました。育休で会社を休み、何年かぶりに出社すると、社内環境の変化に意識が追い付けないでしょう。育休経験があったり、長期休暇明けに出社した人が共感するような内容でした。
芸人の横澤夏子さんのネタみたいに、「こういう人、見た事がある」という人が登場人物だったので、身近に感じた作品でした。
6.すこしふしぎ 瀧川鯉八
鯉八さんは、名前だけ聞いたことがありましたが、落語を聞いたのは初めてです。
弁財亭和泉さんと瀧川鯉八さんは真打で、落語家として経験が長いせいか、落ち着きと迫力がありました。
150年の歴史がある人気の旅館の番頭さんが、300年後である現代の旅館にタイムトラベルする内容です。
300年後、この旅館がどのような人気旅館になったのか。そして、300年後の世界情勢や人々の価値観の変化、ホテルの300年後など、本当に昔の人が今の日本を見てきたかのように話すのが面白かった。
座・高円寺2、新作ストレート 雑感
自分には、新作落語より古典落語の方が楽しめるかと思っていました。
ところが今回の新作落語では、スマホや救急車、そしてワークライフバランスという現代の価値観が話に盛り込まれています。現代の価値観で話が展開するので、理解しやすさ、共感のしやすさという点では新作落語かと思いました。
古典落語と違い、現代の感覚で楽しめるのが新作落語。別の視点で笑えるので、古典落語も新作落語も両方楽しめると思います。
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