どんな仕事でも、2年あれば何でもできるようになる
Bericht und Foto 税理士 平林夕佳 gemacht.
独立したいのに独立しない税理士に、なぜ独立しないのか質問すると、
「まだ知識や経験が不十分だから、独立開業できない」と返ってくることがあります。
独立開業して事務所を移転した際に、きれいな蘭の花をいただきました。お心遣いに感謝。
到達点に立たないと、独立開業できないのか
税理士や他の周辺士業の資格は、将来独立開業したくて目指す方が多い資格ではないかと思います。そのため、税理士試験の受験生時代に受講生同士で「将来は独立開業を目指して資格に挑戦しているのか」という質問は、当たり前のように飛び交っていました。
逆に、資格が無くても事務所で税理士業務補助として働くことができますので、敢えて資格取得を目指すということは、将来、独立開業を目指していることしか理由が見つからないのです。
独立開業を目指していなくても、職場の上司から資格取得を促される場合もあります。事務所としては「所属税理士〇人」とアピールできることが、事務所の信用に繋がるからです。
しかしそのようなケースは稀で、人に頼まれたから目指すというより、自分で資格を取りたいと思って税理士資格を目指す人が多いのは確かです。
税理士資格を取得したら、いずれ独立開業したいと思っている人たちの中でも、すぐに独立開業したいと思っている人と、自分が納得できるまで独立しないで今の事務所で働くという人の2とおりに分類されます。
私は資格取得後すぐに独立開業した前者に当てはまりますので、私の経験から資格取得後、すぐに独立しても大きな問題はなかったことをお伝えします。
新しい仕事を身に付けるのに、2年間あれば十分
ベテランの税理士から見たら「税理士業務補助を2年やっただけでは、まだまだひよっこ。仕事なんか任せられない」という意見が出るでしょう。正直なところ、2年間で税理士業務に必要なすべての知識や業務が身に付くとは思っていません。
私は税理士業の業界に入るまでは一般企業の営業でしたので、税理士事務所の仕事はとても新鮮でした。税務署に申告書を出して終わりだと思っていましたが、都税事務所という税務署と違う組織にも申告書を出すことや、法定調書という聞いたことが無い書類も作成する必要があること、償却資産税申告書など、受験予備校では学習しない名称のオンパレードで、「仕事、できるだろうか。」と不安になったものでした。
しかし、自分が実際に新しい職種に飛び込んで感じたことは、「2年間、本気で頑張れば、たいていの仕事は身に付く」ということです。
この2年間は職場で朝から晩まで、今では「ブラック」な働き方を進んでやらせてもらうことになるかもしれません。休日も休みは無く、本屋に入り浸って知識の補足になる本を探したり、知識を補う学習の時間に充てることになるのは覚悟です。
時には家族サービスを犠牲にしてしまうかもしれません。しかしそれだけ集中すれば、ほとんどのことは「2年間あれば、新しく始めた仕事も身に付く」と思っています。
初めての事案でも請負い、走りながら考える
2年間、新しい仕事に集中して身に付いたと思っても、すべての事案に完璧に対応できるかというと、また違うと感じました。
独立開業して初めて、今までの事務所で経験した仕事がすべてではなかったということに気付くことも多いです。
独立開業したら、全て自分が前面に立って仕事を受けることになります。初めて出くわす事案もたくさんあると思います。どこを調べれば解決しそうか、誰に聞くと道筋が見えてくるか、初めて出くわした事案でも、受けてから調べるということもあります。
結局のところ、完璧に仕事ができるようになったら独立開業できるのではなく、走りながら考えることができるかどうか、走りながら考えることができる技術を独立開業前に身に付けることができるかどうかです。
初めての事案でも自信をもって請負うことができるかどうか、その自信を身に付けるのに2年間、全てを犠牲にして集中できるかどうかということだと思います。