所有者不明土地、一部の所有者でも売却ができるようになる

税理士 平林夕佳

社会的問題化している「所有者不明土地」の解決策となるか

2019年11月15日(金)「空き家は百害あって一利なし」というタイトルで投稿したら
タイムリーに本日の日経新聞(夕刊)で「土地売却 一部所有者でも」
のタイトルが目に入ったので、続きを書きたいと思います。

所有者不明土地は九州本島の面積に相当する

驚くべき事実として、2016年時点で九州本島に相当する土地が所有者不明土地となっています(日本経済新聞 2019年11月18日夕刊1面より)。所有者不明土地が発生する原因は、たとえば既に父親は亡くなっていて、自宅に一人暮らしをしていた母が亡くなり、子ども3人が両親が住んでいた自宅を相続した場合などがあります。誰が両親の住んでいた自宅を相続するか決まらない場合は3人が全員認めたら土地を売却することができます。

または、買い手がなかなか見つからない土地だと、所有者が相続人3人の兄弟のままとなります。その兄弟のうち誰かが亡くなると、その亡くなった人の配偶者や子供がさらに土地の権利を相続します。こうして売らないで持っていた土地の権利が相続によって受け継がれていくうちに、親族と連絡が取りずらくなり「所有者不明土地」として残ってしまうのです。

自分に置き換えて考えてみると、私の兄弟の配偶者や甥っ子姪っ子と私までは話し合いができますが、甥っ子・姪っ子の子供と私との話し合いを持つ場を作るというのはイメージが難しいです。

このように増殖しつつある「所有者不明土地」が2040年には北海道の広さになると予測されています。

所有者不明土地の解決に向けた法案

国交省と法務省が目指しているのは、住所や連絡先がわかった一部の土地の所有者によって売却や賃貸ができる仕組みを作るように法整備を整えることを目標としており、20年の通常国会に関連法改正案の提出を目指しています。
今の法律では、土地所有の権利がある人達全員の同意が無いと土地を売ることができなかったので、一部の連絡がついた人だけの同意でも売却を認めようという法律です。

親が自宅を持っていたら、相続の時に相続登記すること

所有者不明土地が発生する原因は、空き家問題と同様に土地を相続する権利のある人達が土地を活用したり売ったりしないことが原因となっています。空き家は知らないうちに犯罪に使われてしまうこともありますし、そのまま放っておくとマンション開発でその土地を買いたいという業者が現れたときも売れずにマンションが建てられないということになってしまいます。

親が住んでいた家は、親が亡くなると子供に土地の権利が相続されます。土地の権利を相続したら法務局で相続登記をして所有者を明確にし、売却や賃貸に出すなど、土地を活用しましょう。物は使って初めて価値が出ます。持っているだけでは価値が出ません。

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