売上が1,000万円超えれば法人成、その基準は誰が決めたの?

税理士 平林夕佳

個人事業者の方から法人成した方がいいかのご相談で、売上1,000万円が目安かと質問されることがあります。

麻布茶房の、スイートポテトにソフトクリームが乗ってるスイーツにはまってます。

法人成は、売上金額だけで判断しない

事業を始めるのに個人事業者で始めるか、法人にするか悩む方はたくさんいます。

また、既に個人事業者で事業を始めたところ、売上が順調に上がってきたから法人成した方がいいかという相談もあります。

話を聞いていると、「売上が1,000万円を超えたら、法人の方が節税のメリットがあるんですよね?」と言われることがあります。

法人にした方がメリットがあるのか、売上の金額だけで決められないですし、経営者の考え方やライフスタイル、家族の状況など総合的にじっくり話を聞かないと、

「おっしゃる通りです!」とは、即答できかねます。

逆に、売上が1,000万円を超えたら法人成した方がいいという話は、どこから聞いた情報ですか?と質問してしまいます。

どうやらネットでちょっと調べて出てきた情報らしいので、誰が言ったことなのか、というのが特定できません。

(特定できない人の話は、鵜呑みにしないようにしましょう。)

法人のメリット・デメリット

まず、法人にした場合に一般的に言われるメリットは

①家族に給料が払える。
②自宅の1部屋を事務所にしている場合、事務所家賃を支払える。
③退職金が支払える。
④出張の日当が払える。
⑤社宅を借りることができる。
⑥減価償却費は任意で計上できる
⑦生命保険料を、一部経費にできる
⑧青色の場合、損失を9年間繰越せる

上記①~⑧のメリットから「法人にした方が得」と考えてしまうようです。

しかし、法人にもデメリットがあります。

A.会社の登記をしなくてはならない。
B.会社を作るのに、登録免許税など初期費用がかかる。
C.資本金の調達が必要(少額資本でも会社設立可能ですが、信用の面で不安)。
D.赤字の期でも、法人税均等割(約7万円)が発生する。
E.申告書の作成が、個人事業者より複雑。自分で申告書を書くのは困難。
F.社長1人だけでも給料を払う場合、社会保険に強制加入。
G.会社を閉鎖する時、手続きが面倒な上に費用も掛かる。

と、節税のメリットだけではなく法人成した場合のデメリットをよく考えて決めた方がいいです。

法人成は、経営者のライフスタイルなど総合的に判断する

昨今の経済状況を見ると、高度経済成長期のように、毎年右肩上がりでぐんぐんと業績が上がっていくという相場ではありません。

異次元の金融緩和のお陰で、日本経済が多少良くなったと言われた頃、新型コロナウィルスの騒ぎとなっています。

時系列で流れを見ると、景気の良い時代と悪くなる時代が10年サイクルで回っているように思います。

そのため、節税のメリットだけではなく自分のライフスタイルや考え方、事業を将来的にどうしたいかなど

経営者の「思い」も織り込んで、法人にするか、個人事業者で続けるのか考えた方が良いでしょう。

そのためご相談に来られた方が「売上1,000万円で法人設立」と言い出したら、

どこから拾った情報なのか、逆に教えて欲しいと思ってしまいます。

例えば、官公庁や公的な機関から仕事を受注する場合、法人じゃないと取引しないと決められていることがあるようです。

法人も、合同会社はダメで、株式会社でないと取引しないと決めている役所もあるようです。

そのような場合は、「法人にした方がいいか」と悩むまでもなく、株式会社を設立するほかありません。

個人事業者を続けるか、法人成した方がいいのか、売上だけでなく経営者の思いや考え方、

ライフスタイル、将来を総合的に考えて判断しましょう。

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