離婚で家を財産分与、税金はかかるの?
税理士 平林夕佳
離婚のため婚姻期間中に形成した財産の財産分与で家を分けた場合、税金はかかるのでしょうか。
六本木の「文喫」。ネットで本を買う時代になったからこそ貴重な存在です。本屋へ行くと、たまたま出会う本があります。
女性弁護士による無料法律相談会に参加
2017年5月に、全国女性税理士連盟(略して「女税連」と呼んでいます。)に入会しました。
女税連と同様に、女性の弁護士、裁判官、検察官、法律学者から構成される「日本女性法律家協会」という団体があります。日本女性法律家協会では、毎年4月に「女性弁護士による無料法律相談会(リンク先は2019年のものです)」を開催していて、法律の相談で税金に関係する相談が入ったときのために、女税連からも税理士を派遣して参加しています。
私は2018年4月に相談会に参加しました。
※ 2019年(去年)開催の「女性弁護士による無料法律相談会」のチラシ。
女性弁護士による無料法律相談会は、女性だけでなく男性も予約できます。しかし相談者のほとんどは女性です。夫婦や親子、相続、DVやセクハラの相談に対応しているため「女性の悩みは女性の弁護士に相談したい」という相談者の要望があるのでしょう。
私は「離婚にかかる慰謝料や財産分与に税金はかかるか」という相談に対応しました。
離婚による慰謝料や財産分与、もらった人が払う税金は?
離婚したときに発生するお金のやり取りは、
・慰謝料…損害賠償金。
・養育費…子どもが自立するまでに必要な費用。
・財産分与…婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を分ける。
原則、全て税金はかかりません。しかし、慰謝料と財産分与は、多すぎる金額をもらったときに贈与税がかかります(国税庁, 『No.4414 離婚して財産をもらったとき』 参照)。
養育費は生活費の仕送りで非課税ですが、一度に大金の養育費をもらうと贈与税の対象となります。
離婚の話と関係ありませんが、学生で一人暮らししている子に仕送りする場合、毎月生活に必要な金額だけ仕送りしていれば非課税です。しかし数か月や一年に1回、大金を送金すると生活費とみなされずに贈与と判定されます。
離婚による財産分与、あげた人が払う税金は?
離婚して財産をあげた人に税金がかかる場合があります。
離婚による財産分与とは、婚姻期間中に夫婦二人で協力し合ってつくりあげた財産を、離婚するから二人で分けてましょうという制度です。たとえば夫名義の家と現金で、家の時価が1,000万円、現金が1,000万円、合わせて2,000万円の財産のうち、2分の1を財産分与で分けるとします。
・妻に現金を分けた場合 → 夫と妻に税金はかからない。
・妻に家を分けた場合 → 夫に譲渡所得の所得税がかかります(国税庁, 『No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき』 参照)。
※自宅としていた家を財産分与で分けた場合、各種特例が使えますので税金は軽減されます。
財産分与で家を分けたとき、「売却して分けた」と考えるので、税金がかかってしまいます。
まとめ
慰謝料、養育費、財産分与は、原則的に税金はかかりません。しかし、適正な金額を超えて多くもらった場合は贈与税がかかります。
また、あげた財産が家など不動産の場合、もらった人へ家を売ったと考えるため、あげた人には所得税(譲渡所得)がかかります。
税理士 平林夕佳へのお問い合わせは こちら