節税とか、耳障りの良い言葉を振りかざすセールスには注意して

税理士 平林夕佳

やたらと「節税対策になる商品」と言う人、耳障りの良い言葉を振りかざす人は何かある。

節税の効果を得るためには、節税以上のお金を払わなくてはならない

最後のキメ言葉に「節税になるんですよ」って言う人、多いなぁと感じるんですね。

直球で税金に関わる職業のせいか、そんなに、やたらめったら節税になるものなど、存在しないんですよ。

節税になる代わりに、支出がたくさんあったり、とか。

わかりやすい例だと、生命保険料の控除ですか、一般的に多くの人が加入していると思います。

新生命保険料で「一般」の生命保険に入っている人が多くいますが、

一般の新生命保険料で、年間8万円の保険料を支払ったとすると、確定申告(又は年末調整)で、4万円の生命保険料控除を受けることができます。

8万円払って控除額が4万円、所得税率が10%の方ですと、住民税の控除額(2万8千円)と併せると6,800円の節税効果があります。

確かに6,800円節税にはなっておりますが、一方で生命保険料として年間8万円払っています。

生命保険は、将来何か起こった時の転ばぬ先の杖として掛けるものですから、わざわざ「節税のため」に生命保険に加入する人はいないと思いますが、

節税という魔法の言葉に惑わされて、必要以上にお金を支出しないように注意したいものです。

資産形成セミナーにいた、節税をやたら言う人

税金に関わる仕事のせいか、セミナーの案内に「節税」が入ると、とりあえず参加してみようか、と思い、話を聞きに行くことがあります。

先日は、参加費無料の資産形成セミナーというものに参加してみました。

無料だったので、とりあえず情報収集として参加してみました。

セミナーの対象者は、女性で働いている方を対象としているようで、自営業者だけでなく会社帰りの方もいるようでした。

どんな話が聞けるのか楽しみにしていましたが、講師の方が頻繁に「節税になります」を言うのです。

他の参加者の方で、「すごい」と言いたげに頷いている方がいましたが、

微々たる節税効果を得るために、いったい、いくら払ってん、というのが私の感想でした。

その節税効果を得るために支払う金額が高額でしたし、

仮に、うまい具合にインフレで物価が上がれば、確かに損はしないものでした。

しかし、日本ではそんなにうまい具合に物価って上がってないですよね?

リーマンショックをきっかけに底を打った不動産価格は上昇に転じましたが、何をきっかけにして急落するか、わかりません。

それを、物価が上昇することを前提として節税効果を言うので、斜に構えて話は聞いてました。

今回の資産形成セミナーの参加者のうち、何人が節税効果を理解していたのか不明ですが、

ローンを組んで契約した方がいたとしたら、今後、トラブルにならないことを祈るばかりです。

聞き心地の良い言葉を振りかざす人には注意して

資産形成セミナーで「節税になる」と言ってた方に、個別で質問できたので、

節税になるということは、一般的に考えて損失を出さないと節税効果は得られませんが、損を出すということですか?と質問したところ、

あろうことか、回答に窮しているではありませんか。

高額商品を扱うのに、よく無責任に節税を振りかざして売ろうとするな、と。

セミナーでは、節税すごい、資産が増えてすごい、とばかりに目をキラキラさせて話を聞いている参加者がいましたが、

耳障りの良い言葉を振りかざす人には注意した方がいい、と思ったセミナーでした。

資産形成セミナーとは言っても、参加費が無料のものですから、「何かを売る」セミナーなんです。

マイナス要素は、個別に質問しないと教えてくれませんね。

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