「ユダヤの商法」日本マクドナルド㈱創業者、藤田田著

日本マクドナルド㈱創業者の藤田田氏のビジネス本「ユダヤの商法」。

 

 

ユダヤ人はお金儲けが得意

ビジネス本と聞くと堅苦しいものもあり、手を出しずらいものがあります。しかし、今日ご紹介するビジネス本は著者の藤田田氏の軽快な話し言葉で書かれていて、誰にでも読みやすい文体となっています。この藤田田氏の著書「ユダヤの商法」は1972年5月に初版し、総計276刷、82万7,000部を記録したのですから、大ベストセラーの本です。そして初版から50年近く経って、今年の春に新装版が出版されました。

さて、なぜ商売はユダヤ人に学べと説いているのでしょうか。ユダヤ人は自国が無く、常に迫害を受けてきた民族がゆえ、どこでも生きていくために独自の商法が身に付き商売上手と言われる民族になったのではないかと思います。歴史上も有名人や大富豪にユダヤ人がいるので、多くのヒントがユダヤ人から得られるはずです。

そのユダヤ人から多くの教えを受けて商売に生かしたのが藤田田氏、日本マクドナルド㈱の創業者です。

藤田田氏は1926年に大阪で生まれ、1951年東京大学法学部を卒業。在学中にGHQの通訳のアルバイトを務め、そこで知り合った軍曹のお金儲けを観察し、知らず知らずの間にユダヤ商人の下でお金儲けの見習い期間を過ごしたようです。見習い期間を経て学生の時に輸入業の「㈱藤田商店」を起業、1971年に日本マクドナルド㈱を設立。同年7月に銀座三越にマクドナルド1号店をオープンします。その後は飛ぶ鳥を落とす勢いで外食産業を代表する人物に上りつめました。

藤田田氏が若い時に戦争や終戦を迎え、今までの価値観がひっくり返ってしまったことも、彼の商売への考え方に影響を及ぼしたのではないかと思います。

かくしてGHQの通訳で知り合った商売上手のユダヤ人を手本に、商売のイロハを学んだようです。

どうすればお金持ちになれるのか、ユダヤ商法の「定石」にあり

「定石」とは何か。それは銀座のユダヤ人と銘を打った藤田田氏が説くお金持ちになる原理原則のことです。本の表紙には、「定石」さえ守れば金儲けなんて誰でもできる、と書いてあります。

著書には「定石」と称した藤田田氏の原理原則が箇条書きで97項目列挙されています。その97項目のうち、特に心に響いた定石をご紹介したいと思います。

3「生活の中に数字を持ち込め」
“「今日はバカに暑いですね」「少し寒くなったようですな」と日本人は言うが、ユダヤ人は「今日は華氏80度だ」「今は華氏60度だ」と、正確に寒暖計の数字を読む。数字に慣れ、数字に強くなることがユダヤ商法の基礎であり儲けの基本。”
→ 数字がどんぶり勘定だと商売できない。正確な数字を頭に入れて具体的な数字で商談するくせが身に付きます。

12 「暗算を得意とすべし」
“暗算が速いがために、ユダヤ人は常に迅速な判断が下せるのである。”
→ 相手が「電卓、電卓」と言っている間に暗算で答えてしまいましょう。意外とこれで一気に相手との距離が縮まることがあります。そろばんをやってみましょう。

36 「金持ちから流行させろ」
“人は誰しも自分よりひとつ上のクラスを見て、せめてその程度の生活はしたいものだと考えるものである。金持ちや上流階級は、大衆にとってあこがれの的である。”
→ N.Y.セレブ御用達ブランドとか、N.Y.セレブが通うスポーツクラブ、カフェなど、確かに人気が出ます。次に来るセレブ御用達を仕掛けていくことが商売に繋がります。

86 「無能は犯罪である」
(1ドル360円から変動相場制へ移行した過渡期に)“こうした事態を、ただ手をこまねいて見ていたのが無能な“政治家”と称する輩だ。… “無能”は立派な“犯罪”である。”
→ 戦後25年の高度経済成長期、日本が豊かになると同時にグローバルな取引が行われ始めた時代になった頃だと思います。ドル円の為替相場が固定相場制から変動相場制へ移行し、急激な円高によって国家的な損失が出てしまいました。目の前で起こっている危機に対して、対応策を取ることなく国家的損失を出し、国民の税金で損失補てんするのだから、犯罪と同じだということです。
無能はそこにある危機に対応できない(そもそも危機に気付かない)。常にアンテナを張り、そこにある危機に迅速に対応しましょう。

現代の起業家にもヒントになる話が詰まっています

初版の1972年から50年近く経ってからの新装版ですので、その当時は通用しても現代には当てはまらないことも少なからずありました。
しかし、藤田田氏が言いたいお金儲けのための原理原則、「定石」は伝わると思います。お勧めの1冊です。

 

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