日本に住む外国人の相続
税理士 平林夕佳
日本に住む外国籍の方から、相続の相談が入りました。
日本に住む外国人、海外に住む日本人
私が幼少の頃に比べると、比較にならないほど日本に住む外国人は増えたと思います。
海外との取引が増えたり、海外の企業の日本法人が設立されることなども理由としてあると思います。
日本で仕事をしている外国人が、事故や病気によって突然亡くなってしまったらどうなるでしょうか。
逆に、日本で生まれ育った日本人が、海外で仕事をしているときに突然亡くなってしまったら、相続はどうなるのでしょうか?
相続税について海外に目を向けると、相続税が無い国というのも存在します。
その「抜け道」に気付いた方が、自分の子供を相続税や贈与税の無い海外に移住させ、外国籍を取得させることで、相続税・贈与税を回避するという事件がありました。
海外への渡航が一般的になり、外国籍を取得しやすくなると「日本で生まれ育った人は日本国籍を持つ日本人」という概念が薄くなり、相続税の納税義務者について検討する必要が出てきました。
ということで、私が相続税を勉強した10年前の知識で対応しようとすると、納税義務の判定から間違ってしまうことになります。
今年に入って間もない、正月気分も抜けない時に、知り合いの税理士から「日本に住む外国人の相続で、相続人は日本に住んでいる人と母国に住んでいる人がいる相続」を紹介されて、慌てて納税義務の判定から見直しをしました。
外国人の相続では、亡くなった方の日本の居住期間を調べる
私が相続税を勉強した当時は、相続人が日本に住んでいる居住者か、それとも非居住者なのかを中心に調べて納税義務の判定をし、どの財産に対して相続税がかかるかを判定したような記憶があります。
その頭で調べていたら、平成29年に相続税の納税義務の判定に改正が入っており、亡くなった方の在留資格や日本での在留期間を調べないと、日本にある財産だけ相続税の対象になるのか、全世界課税になってしまうのか判定が違ってきてしまうことがわかりました。
亡くなった方が「一時居住被相続人又は非居住被相続人」に該当するかどうかで、日本にある財産にだけ相続税をかければいいのか、もしくは海外にある財産にも相続税がかかるのか、
フローチャート形式で図表を書いて判定しないと、うっかり間違えてしまいそうです。
また、国税庁のタックスアンサーで、表題が同じなのに内容が異なる2つの記事が存在していて、Google検索で「外国人の相続」とだけ入力して検索すると、「Q.相続税の納税義務者の範囲等は、どのようになっていますか。」のタックスアンサーのみヒットします。
一時居住被相続人・非居住被相続人については「No.4138 相続人が外国に居住しているとき(国税庁)」参照。
相続税の納税義務の範囲については「No.4138 相続人が外国に居住しているとき(国税庁)」参照。
外国の遺産管理人とのやり取りが発生する
日本では、人が亡くなった時に遺言書が無ければ、相続人の間で話し合いが行われ財産が分配されます。
しかし国によっては、まず「遺産管理人」が亡くなった方の財産を全て預かり、その財産から債務などを清算して残った財産が相続人に相続される国があります。
その場合、日本にある財産について現地の遺産管理人に報告しなくてはならないことがあるため、日本にある財産を手際よく洗い出し、母国の遺産管理人に報告する仕事が追加されます。
日本に住む外国人の相続が発生すると、その国の習慣や法律もひっくるめて学習することになります。
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