小規模企業共済、メリットデメリット
税理士 平林夕佳
個人事業者には退職金がありません。老後に備えた資産形成のために小規模企業共済に加入しましょう。
小規模企業共済、積立金のようなもの
法人でしたら「退職金規定」を作成すれば退職金を会社が役員に支払うことができます。しかし、個人事業者には「退職金」という概念がありません。
「人生100年時代、老後は2,000万円必要」と言われているので、貯蓄をしておかないと安心した老後を迎えることができなくなってしまいます。
私は基本的に、若い方(20代前半)へは、種銭を貯めて自己投資に回すことをお勧めしておりますが(過去記事「 若いうちは貯金しない、でも種銭は貯ためて準備する 」)、家庭がある方、そろそろ貯金を考える年齢になった方、預貯金に余裕があって節税したい方には、迷わず小規模企業共済やiDecoをお勧めしてます。
※ 小規模企業共済加入には一定の加入資格があります。
小規模企業共済、メリット
小規模企業共済とiDecoのメリットは、掛金の全額が所得控除になるため所得税と住民税の節税対策になります。
今回は小規模企業共済について、いくつかあるメリットのうち節税効果のある3つのメリットをご紹介します。
①掛金の全額が所得控除になる(所得税が安くなる)
積立金のように、毎月支払った掛金が積み上がっていく仕組みですが、積立金との違いは掛金の全額が所得控除になることです。
積金立ですと利息が付くとリットがありますが、利率が低いので、小規模企業共済で所得控除を受けた方が率としてもお得です。
また、小規模企業共済の掛金納付月数が長くなると、掛金納付月数に応じた利息が付くので、払った金額以上の戻りがあります。
②共済金(解約手当金)、退職金又は年金が選べる(所得税が安くなる)
所得税には、受取った収入の種類に応じて税金の計算方法に違いがあります。年金と退職金はそれぞれ収入から控除する控除額が他の所得に比べて有利になっております。
そのため共済金を退職金又は年金で受取れるのは、所得税を計算する上でも有利です。
③死亡退職金だと、500万円×相続人の数が非課税(相続税が安くなる)
共済掛金の解約理由が死亡による場合、死亡退職金として遺族に支払われます。死亡退職金は相続税のみなし相続財産として相続税申告の対象となりますが、500万円×相続人の数が相続税の非課税になるので、相続対策に使えます。
小規模企業共済、デメリット
所得税の面で、小規模企業共済掛金を払ったときも、共済金を受取ったときも税金が安くなるのでダブルで節税効果のある小規模企業共済。しかし、メリットばかりではなくデメリットもあります。
①掛金納付月数が12ケ月未満では、掛金が返ってこない
所得税の節税になる小規模企業共済ですが、掛金納付月数が12ケ月未満だと払った金額は一円も戻ってきません。長期で掛金を払うことを前提に加入しましょう。
(※ 廃業の場合、6ヶ月間加入した後の解約でしたら返戻金があります。)
掛金は月1,000円~70,000円の範囲内で、500円単位で設定することができます。20年間は掛金を払える金額に設定するとよろしいのですが、任意で減額することもできます。
掛金の増額もできますが、新たに増額した部分は切り離して「掛金納付月数」を計算するので、掛金納付月数の計算に影響する部分が出てきます。
まとめ
小規模企業共済にはメリットとデメリットがありますが、少額からでも加入した方がメリットの方が大きいと思います。
しかし、長期で加入することが目的ですので、資産形成する目的で加入しましょう。
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