妻の年収103万円、配偶者控除か配偶者特別控除か

税理士 平林夕佳

103万円以下の収入で働いていても、夫(確定申告をする人)が配偶者控除か配偶者特別控除かどちらを適用するか異なることがあります。

 

 

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年収103万円の年収、所得の種類を確認しましょう

確定申告時期によくある質問に、「私は年収が103万円以下なので、夫は配偶者控除を適用できますか」という質問があります。103万円の壁、と言われているものです。

この「年収が103万円以下のため、配偶者控除が適用できるか」という質問では、質問内容が不完全のため回答するにはいくつかの確認事項があります。

まず、103万円以下の年収で配偶者控除が適用できるのは、勤め先と雇用契約を結んで「給与所得」という所得の種類でお給料を受け取っている場合です。

自分が給与所得者かどうか不明ということでしたら、年末調整を会社にしてもらったかどうかで判断します。仮に年末調整を会社がしていなかったとしても「給与所得の源泉徴収票」を会社から受取っていたら、あなたは給与所得者ということになります。

一方で、会社が年末調整していない上に「源泉徴収票は出せない」と言われたら、あなたは「業務委託契約」で働いていた可能性があります。業務委託契約ですと、報酬を払う人ともらう人の間に雇用関係はありませんので、給料としてではなく「報酬」として支払われていたのか、支払者に確認してみましょう。

給与と報酬、一番の大きな違い

給与と報酬の一番の違いは、給与所得者に対して「給与所得控除」が適用できることです。お給料の年収が103万円だったとしても、103万円に税率を掛けて所得税を計算するのではなく、103万円から一定の方法により計算した金額(給与所得控除額)を差し引いて計算します。

令和1年分の給与所得控除額(国税庁 No.1410 給与所得控除 R2.3.3訪問)の計算式に103万円を当てはめてみましょう。

「給与等の収入金額 1,800,000円以下」は、収入金額×40%で給与所得控除額を計算します。しかし65万円に満たないときは65万円を給与所得控除額とする、とあります。すなわち、年収103万円の給与収入の方は65万円を給料から引くことができるのです。

103万円 – 65万円 = 38万円 → 所得

差し引いた残りの金額が38万円と計算されました。この38万円を「所得」と呼びます。給与が原因の所得なので、「給与所得」といいます。

税金の業界では、「収入」と「所得」の呼び方を使い分けて話をします。「収入」とは103万円のことで、税金や控除を引く前のことを言います。「所得」とは、控除額を引いたあとのことを言います。

話が戻って、103万円の給与収入がある方は、所得が38万円と計算されました。業務委託契約で報酬を103万円を受け取っていた場合だと「給与所得控除」は適用できないので、所得が103万円と計算されます。それぞれの「所得」を比較すると、

給料→ 38万円
報酬→ 103万円

となります。

年収103万円で配偶者控除が適用できるのは、給与所得者の話

給与所得者だと上記のとおり38万円が所得金額になります。所得金額が38万円以下ですと配偶者控除が適用されますので、103万円の給与所得者は、夫(確定申告をする人)が配偶者控除の適用を受けることができます。

一方、業務委託契約で報酬で受取った方は、所得が103万円となります。所得が103万円ですと、「配偶者特別控除」が適用されます。配偶者特別控除の適用だと、夫婦の所得によって控除額が段階的に減額される上に、妻に対して所得税と住民税が掛かります。

まとめ

給与としてもらっているのか、報酬としてもらっているのか契約により税金の計算方法が変わります。
報酬として受取っていた場合だと、配偶者控除が適用できなかったり、妻が課税所得者になることがあります。

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