外国人・海外在住者の確定申告、納税義務者の判定が鍵
税理士 平林夕佳
日本に住んでいる人だけでなく、外国に住んでいる日本人でも日本の所得税確定申告が必要な場合があります。
同じ東京税理士会麻布支部に所属されている阿部行雄先生と原武彦先生の著書、『Q&A外国人の税務』で勉強しました(大崎にある租税図書室にて)。
外国人でも日本に住んでいると、所得税確定申告が必要
税理士事務所に勤務する前は一般企業の営業をしていて、特に外国人の方と接することも無く、日本に住む外国人がどのように税金を払っているのかなど考えたこともありませんでした。
日本に住んでいても外国籍の方なら日本の所得税確定申告は関係ないと思いがちですが、日本に住所があると、その時点で「居住者」という区分になり日本で所得税確定申告をしなくてはならない人になります。
外国人が留学や転勤のため日本で働くとなれば、家を借りてそこに住むのが一般的でしょう。住所があると納税義務者の区分が居住者となり、外国人であっても日本人と同じ所得税確定申告をしなくてはならなくなります。
所得税確定申告が必要かどうかは、納税義務者か納税義務者でないかで判断します。
わかりやすい納税義務者は、
・日本に住んでる日本人
・外国人だけど、日本に住んでいる人
・外国人で入院や施設などで1年以上、日本にいる人(居所が1年以上)
上記は「居住者」というグループの納税義務者となります。
外国に住んでいる日本人でも、所得税確定申告が必要な時
近年、外国に移住する日本人が多く見られるようになりました。東アジアや東南アジアに行ってビジネスを興したい!という方もよく聞きますし、東南アジアにはリタイアメントハウスといって、仕事を引退した方が住むマンションのような施設もあります。
こういった方は、外国に住んでいるので日本で所得税確定申告はしなくても良いのか?と思ってしまいますが、『日本国内において生じた所得(国内源泉所得)に限り』、日本の所得税確定申告が必要になります。
『日本国内において生じた所得(国内源泉所得)』は、15個もあります(国税庁『No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)』参照)。よく相談を受けるのは家賃収入がある方です。
海外転勤で何年か家を空ける予定で、日本にいない間だけ家を貸す方がいます。その場合、家賃収入(国内源泉所得)が発生しますので、外国に住んでいても日本の税務署で所得税確定申告が必要になります。
日本に住んでいない外国人も、日本での不動産収入がある方は、非居住者の国内源泉所得として不動産所得の所得税確定申告をします。
納税義務者か納税義務者でないか判定する
外国に住んでいる日本人で、国内源泉所得が無い人は納税義務者に該当しませんし、外国人で日本に住んでいる人は、外国人であっても納税義務者に該当することがあります。
税金の申告が必要なのかどうかわからない時は、自分が納税義務者なのか納税義務者ではないのか、納税義務者の判定をしましょう。
税理士 平林夕佳へのお問い合わせは こちら