相続税財産評価、土地現地調査の事前準備
税理士 平林夕佳
土地や建物を相続または贈与した場合、その土地や建物を現地調査します。現地調査に行く前の事務所内での事前準備についてお伝えします。
左に曲がると六本木駅方面、上に上がって右に曲がると青山一丁目駅方面です。
土地の現地調査は事前準備が重要
経営者はよく「現場の声が重要」と言います。工場で働く社員の声、テナントで顧客と接するスタッフの声を現場で聞くことで、新しい発見があります。
土地の財産評価においても現地調査が外せないほど重要です。
今はGoogle Map のストリートビューでその土地を見ることができるので、事前の準備段階である程度の予備知識を頭に入れておくことができます。
土地の財産評価は知れば知るほど奥が深く、「税理士なのに、土地家屋調査士の知識が要求されるわね」ということに気付きます。
土地の現地調査、行く前に情報収集する
相続が発生して遺産の中に土地があった場合、現地調査の前にできるところまでやっておきましょう。
(1)財産評価する土地の固定資産税納税通知書で、評価対象の不動産を確認します。土地や建物が免税点以下のとき、固定資産税納税通知書は送付されません。そのときは「名寄帳」を取得して確認します。
また、非課税の土地が名寄帳に入っていないこともあるので、名寄帳を取るときは「非課税の資産も全部入れてください」と伝えておきましょう。
(2)ブルーマップで住所から所在地番を特定します。固定資産税納税通知書もしくは名寄帳には住所ではなく所在地番で記載されています。
(3)法務局で土地・建物の全部事項証明書(登記簿謄本)と公図、測量図を取得します。
※ 登記簿謄本を取得するのに、オンラインで申請し、郵送してもらうと、法務局の窓口に行かずに登記簿謄本が取得できます。「登記ねっと 供託ねっと」から申請します。
私はインターネットの「登記情報提供サービス」で、まずは必要な情報をダウンロードしてます。
ネットの登記情報提供サービスでは、住所から所在地番を検索するサービスがあります。
赤枠で囲った「地番検索サービス」をクリックすると、ネット版のブルーマップが出てきて、住所から地番を検索できます。逆に、所在地番から住所も調べることができます(関連記事「土地の登記簿謄本は、住所から所在地番を調べて取得する」)。
(4)国税庁サイトで路線価 or 倍率地域か検索する(国税庁,『財産評価基準書』)。
(5)Google Mapで現地の場所を特定し、ストリートビューで外観を確認します。登記簿上の地目と実際の地目が違うことがあります。
(6)Googe Mapを「航空写真」に変えて、上から見た土地の形と現況を確認します。
(7)相続人から、土地に関する資料があれば何でもいいので提出していただく。
(8)図面や土地に関する資料が無く、役所が近ければ「建築計画概要書」を取得する。
(9)役所のインターネットサイトで、道路台帳、用途地域、都市計画を検索し、印刷する。
上記が事務所でできる事前準備で、一般的なものだと思います。
土地の現地調査、なぜ必要か
土地の現地調査が必要なのは、土地の形や使用状況が登記簿上と異なることがあるためです。この場合、現況で評価します。
騒音など土地の評価減になる要素も、現地調査でわかることです。
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