遺産分割協議書がまとまらない、嘘のような本当の話
by 税理士 平林夕佳
相続争いといえば、遺産の取り合いですよね?
相続で連想するものの一つに相続争いがあります。
これまで相続争いといえば、遺産を多くもらうために争うことと思われていました。
それに伴い、専門家はそれぞれの立場から、争わない相続のための助言をしていました。
ところが最近は、相続人の全員が遺産をもらいたがらず、遺産分割が進まないケースが見られるようになりました。
なぜ遺産を相続したくないのか、一般的な理由
相続で争いがあるのは、一般的には遺産の取り分で争うケース。
そのため、他の相続人が「遺産はいらない」と言えば、遺産分割協議はすんなり進むと思います。
しかし、相続人の全員が遺産を欲しがらない場合も遺産分割協議は進みません。
遺産を相続したくないという主な理由は、
・山林や原野を相続したくない。
・親が住んでて空き家になった家を相続しても活用できない。片付けるのも面倒。
です。
そのため、これらの財産を相続しない代わりに遺産は受け取らない、と言われます。住む家があり働いている。そのため、生活に困らないから、遺産はいらないと言うのです。
相続したくない遺産を見ると、ほぼ不動産が原因となっているようです。
相続放棄という制度
さて、誰も遺産は欲しくなくても、誰かが引き受けないと遺産分割協議は終わりません。そこで、いったん相続した後、遺産は売却すれば解決します。
もしくは、相続人の全員が相続放棄すれば、遺産を相続する必要はありません。ここで注意するのは、相続放棄をしても一定の場合、次の順位の人が相続人になるため、簡単ではありません。
相続放棄は、不要な遺産だけでなく、現金預貯金や株式など、現金化しやすい遺産も放棄しなくてはなりません。さらに、被相続人が非上場の会社の株主だった場合、事業承継に影響するため安易に相続放棄はお勧めできない制度です。
従来だと、相続放棄は、亡くなった人に多額の借金があったり、資産より負債の方が多い時に利用されました。相続は、プラスの財産だけでなく負債も相続の対象となっているからです。
そのため、税理士の立場で、資産の処分に困って相続放棄をしたいという相談はほとんどありませんでした。
数年前まで想定していなかった、「相続人の全員が遺産は受け取りたくない相続」があることに、最近はあまり驚くことも少なくなっています。
きっと、時代とともに人々のライフスタイルが変化したことと、価値観が変化したことが原因かと思います。
遺産分割協議をスムーズに進めるためにも、生前にしっかりと家族で話し合う時間を持つことをお勧めします。
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