空き家は百害あって一利なし

税理士 平林夕佳

空き家は百害あって一利なし。空き家を作らない工夫、家の買い方を考えましょう。

空き家が発生する原因

親の財産を相続した人の悩みでなかなか解決しない問題の一つに「親が一人暮らししていた家をどうすれば手放すことができるか」という問題があります。家のある場所が三大都市圏(関東・東海・関西圏)でしたら買い手が見つからないことが少ないのですが、三大都市圏でもなかなか売れない土地が出てきています。

空き家が発生する主な原因は
1.一人暮らししていた親が亡くなり、その後に子が住まないとき
2.一人暮らししていた親が老人ホームに入居したとき

がよくある理由です。子供が親と同居しないことから、相続を原因として家が空き家になります。

空き家ダメ、メリットが無いから

空き家が発生する主な原因は「一人暮らしていた親の相続」です。空き家でも子が相続登記をして登記簿上の名義が子の名義になっていればまだ良いのですが、相続人が複数人いて名義変更の登記をしていないとなると、何十年、何百年後には「所有者不明の土地」になる可能性があります。所有者不明の土地になると、再開発などで立ち退きをしてもらいたいときに、連絡する人がわからず政策が先に進まないという問題が起こります。

その他の問題として、空き家が犯罪に使われてしまうということがあります。2018年4月に愛媛県の塀の無い受刑施設から受刑者が脱走した事件がありました。脱走した受刑者がなかなか見つからなかったのは、空き家を転々として逃げていたと報道されました。受刑者が脱走した場所は、空き家だらけだったのです。つまり空き家が犯罪の温床になる可能性があるので、空き家は近所の人達に迷惑を掛ける原因となります。

空き家を出さないために

では、空き家を減らす工夫はどうしたら良いのでしょうか。まず、「無駄に家を買わない」ことです。また、一人暮らしのご老人は、元気な人向けの老人ホームに引っ越すことも視野に入れると良いでしょう。もし老人ホームに入らないということでしたら、家を誰が相続するのか決めておくことも大切です。家を相続でもらいたい人がいなくても、相続が発生すれば法定相続分に応じた持分の権利が発生します。親の財産を受取る権利のある子どもは、相続でどんな権利が自分に付くのか確認することも大切です。

空き家を相続する子供への負担を考える

自分は家しか財産が無いから相続税がかからないし子供へも負担が無いと思っている方は要注意です。相続税がかからなくても、法定相続分で相続人に持分の権利が割り当てられるので、固定資産税は相続人が払うことになります。空き家になったからといってそのまま放置すれば国が何とかしてくれるのではなく、結局は子供達へ負担がかかるのです。その家を処分するには家を片付ける必要がありますし、遠方に子供が住んでいれば業者を使って片付けることになるでしょう。子供達に負担を掛けないために、自分の家の処分方法を自分で考えておくことが大切です。

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